25時の表参道 Vol.6

25時の表参道:浮気相手に連絡した女の狂気。37歳、魔性の人妻に噛みついた日

25時の表参道。

東京のエネルギーが集結する港区にあって、そこだけ取り残さてしまったかのような静寂が流れている。

ブランドショップや飲食店が立ち並ぶ表参道通り、青山学院大学がある青山通り、そして西麻布へと続く骨董通り。

昼間は多くの人で賑わうが、深夜になると、隣の六本木とはまるで違った景色を見せる。

広告代理店勤務のコピーライター・フミヤは一回り上の既婚女性・静香に恋に落ちる。フミヤの恋人である美月は2人の仲を疑い、ある日バーで鉢合わせてしまう。

美月が心配になり、後を追った同期の亮は、ひょんなことから静香と飲むことになる。そのことを知ったフミヤが静香に問いただすと…?


フミヤ「恋愛とは、もっと単純なものなはずだった。」


「何で?何で2人で会ったの?」

亮と静香さんが2人きりで会ったという話を聞き、彼女を問い詰めた。すると、彼女は困ったように眉をひそめた。

「そんな怖い顔しないで。」

彼女は薬のような味のするウィスキーを飲みながら、僕の方を少しも見ずにこう言った。

「何で、2人で会ってはいけないの?」

それは非難ではなく、単純な疑問のように聞こえた。しかし、この言葉は、雷に打たれたような衝撃だった。

恋愛とは、もっと単純なものではないのだろうか?

「付き合おう」という約束によって関係を始め、別れるときは「別れよう」という言葉があるべきだ。それが僕が知っている「恋愛」だ。

でも、今の静香さんと僕の間には、何の取り決めもない。

彼女は好きな時に僕を呼び出し、好きな酒を飲み、好きな音楽を聞き、まるで僕がいてもいなくても平気そうな顔をしている。

やりがいのある仕事に、稼いでいて見た目もいい夫。彼女は全てを手にしているし、それを隠すこともしないから、代理店女子の間でも嫌われている。

「もういいよ…。」

力なくそう言って、その場を後にした。

もちろん、彼女はついてこなかった。

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