マリエ・ストーリーズ Vol.1

唯一の楽しみは、元恋人のインスタ・ストーリーズ。今日もあの丸いアイコンを、クリックするだけ。


Instagramは美術館、ストーリーズはリアリティ溢れる日常


「マリエのような煌びやかな女性にとっては、Instagramは美術館というか。自分のお気に入りの写真を厳選して載せていく感じでしょうか。本当に綺麗な写真がたくさん並んでいます。」

慎吾と付き合っていた頃から(しつこいが、あくまで慎吾が付き合っていたと思い込んでいるのでそう表記している)マリエのプライベートはベールに包まれていた。

彼女は丸の内の貿易会社で働く普通のOLのはずで、給料などたかが知れている。それと生活ぶりが見合わないことは、明らかだった。

ー私、実家暮らしだから❤️

実家暮らしで仮に家賃を払っていなくとも(社会人になっても実家暮らしなら少しは家にお金を入れろよと慎吾は思った)、連日の高級レストランや、毎月のような高級ホテル宿泊。そして、新しくInstagramにupされていくルブタンやセリーヌ...

その豪華絢爛な暮らしぶりの背後に、男の影がちらつかないわけがない。そんな贅を尽くした日々からキュレーションされたマリエの画像が並ぶInstagramは、まるで美術館だと慎吾が語るのも頷ける。

「一方でストーリーズはなんというか...すごくリアリティがあるんです。生々しいマリエが、なんか目の前にいる気がして...」

ストーリーズのような動画は、写真と異なり「一瞬を切り取ること」ができない。その代わりに、その場に自分も居るかのような錯覚を引き起こす。それは言い換えると、日常的な感覚といえよう。


マリエのストーリーズを見すぎた慎吾に、思わぬ誤算


「僕もInstagramアカウントは持っていて、たまに投稿します。それでも、焼肉とか深夜のラーメンとか、大したものはありません。閲覧専用です」

慎吾とマリエのInstagramは、その生活ぶり以上の、天と地の差。だがしかし、男で頻繁にInstagramに投稿しているのも、それはそれでいかがなものか。

「マリエの投稿が数日なかったりすると、寂しくなります。投稿する暇がないほど、誰かと一緒に遊んでいるのかなとか、余計なことを考えてしまい、いつもより少しだけ眠りに就きにくくなったりもします(笑)」

慎吾のマリエ・ストーリーズ中毒は、しばらく終わりそうもない。



毎日3回以上、まるでストーカーのようにマリエのストーリーズに魅せられ、クリックしていた慎吾。

しかし彼は、ストーリーズの投稿者側から「誰が閲覧したかがわかる」ことを、この時まだ知らなかった。


▶︎Next:1月24日火曜更新
加速するマリエ・ワールド。元同僚の美穂も、マリエのストーリーズから目が離せない!?

マリエのInstagramアカウントはこちら
アカウント名:marie.intokyo

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