崖っぷち結婚相談所 Vol.21

崖っぷち結婚相談所:激しい恋愛感情よりも、「しっくり」がベスト?最後の男は...

典型的な結婚できない女、杏子、32歳。

慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2,000万円を優に超える。

美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。

婚活に危機感を持ち始めた杏子は、結婚相談所に登録した。4回目のマッチングで、とうとう運命の人に出会ったと思ったが違和感が拭えず、そして5度目の出会いで、意外にもファット・ガイに好感を持ち...?


最近の杏子は、不思議な安堵感に包まれている。

不安、苛立ち、焦燥感。

ここ数年を振り返ると、杏子はそれらの感情を、どうしても自分から切り離すことが出来なかったように思う。

高収入を得て豪華なタワーマンションに住み、誰もが羨む、東京の上質な女としての生活を実現しているにも関わらず、だ。

東京という大都会の中心で、「ステータス」という煌びやかな階段を登っていくのは、信じられないくらいの高揚感がある。

学生時代は憧れるだけだったハイブランドのバックや靴はいくらでも手に入り、一人単価数万円の星付きレストランだって、臆することなく通うことができた。

頑張れば頑張った分だけ、杏子を取り巻く世界は、実に分かりやすく「物質」で豊かに美しく満たされる。

しかし、ふと立ち止まったとき、杏子の心には、木枯らしのような冷たい風が吹いた。

無視したくても、無視できない。

いくら環境が満たされても、杏子の心は、どこか寒々しかった。他の女たちの結婚や出産の話を耳にすると、嫌でも心がザワつき、尖ってしまう。どんどん素直になれなくなっていく。

杏子は長らく、そんな自分自身と激しく必死で戦い、消耗していた気がするのだ。

だが、マツタケ(松本タケシ)と出会ってから、確実に「何か」が変わり始めていた。

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