崖っぷち結婚相談所 Vol.1

崖っぷち結婚相談所:美貌とキャリアを手にした女の哀しいプライド。そして、その本音。

典型的な結婚できない女、杏子、32歳。

慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2,000万円を優に超える。

美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。

恋愛市場で負け続け、さすがに危機感を持ち始めた杏子。そんな彼女が「結婚相談所」というパンドラの箱を開け、婚活に悪戦苦闘するお話。


「君といると疲れる。」エリート美女が万年フラれ、モテない理由は...?


眩しいばかりの空が美しい、夏の週末。杏子の心はどんよりと暗く沈みこんでいた。

つい一週間前、半年程付き合った商社マンの知樹と別れてしまった。ここ最近はケンカが絶えず関係は円満とは言えなかったが、彼と私は釣り合いのとれたお似合いのカップルだったはずだ。知樹にも損は決してないと思っていた。

「ごめん、杏子といると本当に疲れるんだ...。」

知樹の最後の言葉が忘れられない。疲れるの意味が分からない、と、杏子は抗議したが、彼は「もういい加減にしてくれ。」と、確かに疲れた様子で話し合いを放棄され、関係は強制的に解除されてしまった。その後も何度か連絡したが、恐らく無視されている。

昔から、何人もの恋人に「杏子といると疲れる」と言われ関係が終わることが多かった。でも、その意味は未だに理解できない。男に依存するタイプでもないし、経済的にも余裕がある。彼らにとって負担は少ないはずだ、と杏子は思っている。

加えて、杏子の外見のレベルはかなり高い。大学時代は毎年ミスコンに誘われたし、会社では1番の美人だとよく言われる。それだけでなく、金融業界でも杏子の美貌はよく噂されるほど有名だそうだ。実際、杏子はどんなに忙しくても、美容の手入れは怠らない。

しかし杏子は昔から、お食事会などに参加しても連絡先を聞かれる頻度はかなり少ないし、やっとデートまで辿り着いても「怒ってる?」などと気を遣われ、なかなか発展しない。そして恋人にはだいたい半年前後でフラれる。

仕事であればどんなに難しいディールも努力次第で上手くまとめられる自信があるのに、恋愛だけはどうしても上手くいかないのだ。

一体、自分の何が悪いのだろうか。どうして男たちは、賞賛を浴びせるばかりで自分に特別な興味を持たないのか。30歳を過ぎてからは、杏子は真剣に頭を悩ませるようになった。

そして何よりも、32歳で恋人を失ったという事実は、思っていた以上に心に暗い影を落とした。

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