軽井沢の冬 Vol.6

軽井沢の冬:女の幸せって…?守られて生きる女 vs 自立して生きる女

仕事でも恋愛でも、常に勝ち負けを意識し戦闘態勢を崩せない東京人たち。

人生の冬を迎え、心が渇いてしまったら、東京から1時間のオアシス・軽井沢で己を見つめ直すと良いかもしれない。

軽井沢で、東京人たちを出迎えもてなしてくれる女性がいる。美希、35歳。

これまで加奈正輝が美希の元で心の平穏を取り戻したが、今度は美希自身に夫・誠司の浮気発覚という事件が発生!


生まれながらにして、持っている女


「不貞行為の慰謝料なんて、良くて300万円だしね。」

軽井沢町で天空に一番近い場所『天空カフェアウラ』のテラス席で、律子はまったく周囲に配慮することなく言い放った。

先週、軽井沢に住む大学同期の美希が急に電話してきたと思ったら「すぐ軽井沢に来て」と言われた。えーっと…私は美希と違って暇じゃないんだけど?と言いかけたが、ただならぬ気配を察し、わかったと了承してしまった。

美希の自己中は今に始まったことではないから、いまさら怒りも疑問も湧かない。なんなら、「私もちょうど軽井沢でリフレッシュしたかったし」などと言ってしまったくらいだ。

お嬢様は我儘な生き物だ。いや、お嬢様だからこそ我儘に生きることが許される。

美希は軽井沢で代々続く大病院の娘。両親所有の広尾のマンション(ファミリータイプ)から毎日タクシーで通学していると聞いた時は、漫画の中の話かと思った。

卒業後損害保険会社に就職したが3年経たないうちにあっさり寿退社。旦那・誠司の両親から譲り受けた土地に豪邸を新築し、文字通りの有閑マダムライフを送っている。

標高1,300mから下界を見下ろし、優美なしぐさでミルクティーを飲む美希を見ていると、生まれながらにして持っている女と持っていない女がいることを痛感する。

律子の出身は岐阜の片田舎。必死で勉強して受験戦争を勝ち抜き、私大文系トップの偏差値を誇る慶応法学部に入学。法律事務所でアルバイトをしながら勉学に励み、在学中に司法試験にパスした。

―私は自力で生きていかなければ。

幼い頃からそう言い聞かせて生きてきたから、誰かに甘えたり頼ったりする方法がわからない。仕方のないことだ。私は美希みたいに、誰かに守ってもらえる星の下に生まれたわけではないのだから。

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