港区ラブストーリー Vol.7

港区ラブストーリー:2012年ヒカリエ前で、結婚願望が強い彼女からの、母親奇襲攻撃

東京都港区。

東京の中心であるこのエリアには、数多くの“ロマンス”が詰まっている。ドラマみたいな出来事や、ドラマ以上の出来事が港区で過ごしていれば、降りかかってくることもある。

この“港区ラブストーリー”は、2007年に出逢った26歳の女と24歳の男の2016年までの恋模様、“あの日、あの時、港区で”の様子を描き出していく。

2007年、麻布十番で知り合った、ラジオ局勤務のさとみとテレビ局でADをしている潤。

ある日、さとみは仕事のピンチを潤に助けられたのをきっかけに、二人の仲は急接近し付き合うことに。麻布十番で半同棲生活を送るなど、幸せな日々を送っていたが、潤の度重なる浮気が発覚し、二人は別れてしまう。そして、久しぶりに会いに来た潤に、さとみは婚約した事を告げた……。


2012年:ヒカリエ、東京スカイツリーオープン


秋の気配を感じるようになった頃、さとみは新婚旅行から帰ってきた。旅行先はベタにハワイ。ヨーロッパ周遊やモルディブとも迷ったが、やはり結局ハワイで落ち着いた。数日ぶりに日本に戻ると、季節が秋に変わっていた。

「夏は終っちゃったのかな」
「自分で終わりだと思ったら、夏は終わりなんじゃない?」

羽田空港で夫とそんな会話をした。自分が終わりだと思えば、その時に終わる。

―うん、本当にそうだね―

一人の男の顔を思い出しながら、さとみは心の中で呟いた。




羽田から広尾のマンションに戻り、夫はすでにシャワーを浴びている。さとみは明日まで仕事を休みにしているが、彼は明日から早速仕事なのだ。明日彼に持たせるお土産を、寝室のクローゼット横に出しておく。

一旦片づけが落ち着くと、ハワイで撮った写真をiPhoneで見ながら、どれを部屋に飾ろうかと考える。リビングのチェストの上、結婚式の写真の隣に並べる写真。写真立てはもうすでに準備している。

「ビールでも飲む?」

シャワーから出てきた夫に声をかけられた。

「そうね。飲みながら部屋に飾る写真を一緒に選んで。」

そう言って、彼と一緒にリビングへ移動すると、缶ビールで乾杯してお互いのiPhoneに入っている写真を見せ合った。彼が撮った写真の中には、さとみが知らない間に撮られた寝顔もあった。それも、口を開けて間抜けな顔をしている、ひどい写真だ。

「うそ、いつの間に?!今すぐ消してよ」
「えー嫌だよ。この顔も可愛いよ?」

そう言って彼は、なかなか消そうとはしない。結局、写真立てに入れる写真は決められないまま、この日は寝ることにした。

結婚式は5月に挙げた。六本木のグランドハイアットで、それなりに豪華な式だった。結婚式に対して、世間一般の女性ほどの熱量は持っていないさとみだったが、いざウェディングドレスを着て皆から祝福の言葉を貰うと、さすがに感極まって涙がでた。そんなさとみを、夫の博己は優しく抱きよせてくれた。

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