クォーターラバー Vol.2

クォーターラバー: 逃げ切れない義母問題。強烈な義母を持つ御曹司と結婚はできるのか!?


貴幸の正体は御曹司の息子だった!


日曜日。

悩みに悩んだ挙句、濃紺のAライン膝丈スカートに、白色の半袖シャツ、そこに小ぶりのパールのイヤリングにした。派手過ぎず、地味過ぎずちょうど良いだろう。手土産は、銀座にある『宗家 源 吉兆庵 』で購入した果実菓子。中に果物が入っていて美味しいし、見た目も涼し気で最適だと思った。

車で家まで迎えに来てくれた貴幸と共に実家へ向かう。緊張しちゃうなぁとつぶやくと、「祥子ならうちの親も気に入ってくれるよ。」と貴幸が優しく言ってくれた。この貴幸の笑顔が祥子はたまらなく好きだと改めて思う。

何を話すべきか、親御さんの前では何と呼べばいいのか色々と話している間に貴幸の実家に着く。正確に言えば、“家”ではなく大きな門の前に着いた。

「あれ? ここどこ?」

「あー、これうちの実家。」

腰が抜ける位のご立派な実家だった。威厳溢れる門構えに全てが完璧に手入れされている庭の植木。門からだいぶ奥まった所に聳え立つのはドラマに出てきそうな古いお屋敷のような家だった。

「言ってなかったんだけど、実は今働いてる会社ってうちの親父の会社なんだよね。」

祥子は開いた口が塞がらない。

貴幸の会社はテレビコマーシャルで見ない日はない、日本国民なら誰もが1度は名前を聞いたことがある製菓メーカーだ。何で今日の今日まで言ってくれなかったのか……怒り半分で貴幸を見る。

「今まで、お金目当てで寄ってくる子が多すぎて。そうゆうの本当に辟易しちゃってさ。家業に関係なく、俺を好きになってくれる子が良くて。」

貴幸の言っている意味は分かる。きっと彼なりに色々な苦労をしてきたのだろう。しかしもう少し早めに、せめて実家を訪問する前に言えなかったのだろうか。これまでの3ヶ月間、貴幸は密かに祥子をそんな目でジャッジしていたのかと思うと悲しくなった。

そしてあまり派手にしてはいけないと思い、少し地味でノーブランドの靴で来てしまったことに激しい後悔を覚えた。せめて指輪くらいしてくればよかった。

そんな女心は露知らず、貴幸は実家の大きな扉を開ける。

「ただいまぁー。」

「あら、たかちゃんお帰りなさい。」

たかちゃん……に驚きつつも「こんにちは、お邪魔します」と挨拶をしたが義母は聞こえなかったのか、あら、と言っただけですぐ貴幸を奥に連れて行ってしまった。慌てて付いて行くが、先が思いやられて気持ちが重くなる。

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