2024.09.09
東京3C男子 Vol.14カメラマン、クリエイター、カレーをスパイスから作る男──。
これらの男性は“付き合ってはいけない男・3C"であると、昨今ネット上でささやかれている。
なぜならば、Cのつく属性を持つ男性はいずれも「こだわりが強くて面倒くさい」「自意識が高い」などの傾向があるからだそう。
一見するとどれも個性的で魅力的な男性に思えるが、果たして本当に、C男とは付き合ってはならないのか…?
この物語は“Cの男”に翻弄される女性たちの、悲喜こもごもの記録である。
「東京3C男子」一挙に全話おさらい!
第1話:富山から上京して中目黒に住む女。年上のカメラマン彼氏に夢中になるが…
光司の職業は、カメラマンだ。
クラシックな建物の前で何気なさを作為したポーズをとると同時に、心地いいシャッター音が春香を包む。
カシャ、カシャ…。シャッターの音に合わせて、ファインダーの奥に視線を送る。
レンズ越しに、光司と見つめ合う。春香はこの瞬間が、たまらなく好きだった。
離れていても、彼とひとつになったような快感を覚えるから…。
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第2話:結局男って、カワイイだけの“量産型”な女が好き。アート系彼のため、個性派を目指した23歳女の絶望
― あれ?なんだか、怪しい雰囲気…。
先ほどまでいた港湾地区の健康的な明るさとは違い、ダークな輝きが満ちている。夕暮れにピンク色のネオンが眩しい。道を誤ったに違いなかった。
ある意味、光司がカメラマン的に興味を持ちそうな、味のある街並みではある。
けれど、辺りは薄暗い。上映時間が迫りつつあるという焦燥感とともに、不安が春香を襲った。
彷徨いの果てに、とにかく駅に戻って仕切り直そうと心を決めた時だった。
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第3話:出会って1ヶ月で交際に発展。社内で憧れていた彼を落とした25歳女のテクニック
丸の内にある大手食品メーカー本社の正面玄関ロビーには、A0サイズの大きなポスターが掲示されている。営業部社員の福浦唯子は、その前を通るたびに足が止まっていた。
それは、コンプライアンスや社内ネットワークのセキュリティ対策について注意喚起をする、なんてことないポスター。しかし、ポップなデザインとコミカルなイラストは、不思議と唯子の心を掴むのだった。
「…君、いつも足を止めてくれているよね」
ある日、いつものようにポスターの前で佇んでいると、突然声をかけられた。
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第4話:「仕事がデキる女は、彼女にしたくない」26歳男のストレートな本音に、女は思わず…
瑛太の顔を見る限り、まだ落ち込んでいたようだった。ただ、気にしないそぶりで話しかけていると、次第に明るさを取り戻してくれた。
「ねぇ瑛太、今日の夜空いている?行きたいお店があるんだ」
「別にいいけど…」
瑛太の優しい笑顔に唯子はホッと胸をなでおろす。
― よかった。やっぱり気にするほどのことじゃないみたい。
しかし…。
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第5話:「今週末ウチくる?」カレー店で初デートしたら、家への誘いに女性から“OK”が出た。その理由とは
― ま、私も誰かから見たら、退屈な普通の女よね。だけど…。
次に交際する人は、危険な匂いのする男…とまではいかずとも、平坦な日常にスパイスを加えてくれるような面白い人がいい。奈那は密かにそう考えている。
「ま、急いでいないから、私なりにのんびり探すよ」
「奈那さんなら、すぐいい人が現れますよ~」
根拠のない美月の軽口に、奈那は苦笑いする。しかしその言葉通り、程なくしてピンとくる相手が、奈那の目の前に現れたのだった。
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第6話:気になる同僚の部屋で2人きり。スパイスから作ったカレーを出され、女が一瞬で冷めた理由
小嶋は、ひとり暮らしだ。彼の家に、お手製のカレーを食べに行くということは──。
後輩の美月や他の同僚に声をかけることも、初めは考えた。しかし、結局は誰にも言わなかったのは、目的以外の“何か”を奈那自身が期待しているから。
― フィーリングが合うって、こういうことなんだろうな…。
小嶋も誰かを呼ぶ提案をしてこなかったことを考えると、気持ちはおそらく同じはずだ。
奈那は前を向いて歩き出す。手土産のケーキを携え、彼の家がある商店街のその先へ…。
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第7話:「え、私が…?」慶應幼稚舎出身の爽やか男子からのアプローチに27歳女性が戸惑った理由とは
梨香子はメッセージの送り主の顔を脳裏に浮かべる。1ヶ月前の食事会で出会った“彼”は、2歳年下の笑顔が爽やかな素敵な人だった。
梨香子はどうやらそんな彼に心を寄せられたようで、食事会以降も連絡やデートの誘いが頻繁に来ている。ほぼ毎日、といっていいくらいだ。
ただ…嬉しさよりも、戸惑いの方が大きかった。
彼のまっすぐなアプローチを断ることの心苦しさもあり、その都度返信や誘いに応じてはいるが…。
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第8話:慶應から局アナになった25歳エリート男。意中の彼女に絶対知られたくない秘密とは
慎二も部屋に帰ったのだろう。デートのお礼を伝えるLINEが届き、そのメッセージを眺めていると、否が応でも慎二の爽やかな笑顔が脳裏に浮かぶ。結論を先送りにしている自分が、情けなくて嫌になる。
じっとしていると落ち込んでしまう。そう思った梨香子は気を逸らそうと、日頃はめったにつけないテレビをつけてみる。
しかしどうやらその行動は、逆効果だったようだ。梨香子は思わず目を見開く。
煌々と明るく光る画面には、ついさっきまで一緒にいた───慎二の姿が映っていたのだ。
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第9話:「2日も未読スルー…」結婚式で出会った医師を29歳女性がデートに誘ったら、反応が悪かった理由
― まさか、こんなに早く吉乃が結婚しちゃうなんて…。
新婦の吉乃は、綾里の幼馴染だ。私立の一貫校だったため、小学校から大学までを共に過ごし、卒業してからもプライベートはいつも一緒にいるのが日常だった。
何年も恋人ができない綾里だったが、吉乃がいれば平気だった。
お互いの家を行き来し、毎日のようにLINEで他愛もない近況報告をする。そんな楽しい日々がいつまでも続くと思っていた。
なのに…。
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第10話:医師とのキャンプデート。「同じテントに泊まるの?」と29歳女がドキドキしていたら…
熊谷はそんな綾里の話を、ときおり相槌を打ちながら親身に聞いている。それで何か明確な答えが出たわけではない。ただ、綾里の心は熊谷に向けて解き放たれていた。
そんなゆっくりとした時間がしばらく続き──ふと沈黙が訪れる。
― あ…。この感じ、もしかして…。
しばらく無言で見つめ合った。熊谷の瞳の中の自分を認識した綾里は、ごくりとつばを飲み込んだ。
「あの、私、熊谷さんのこと──」
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第11話:出会ったその日にお泊りした32歳女。翌朝、後悔する女に外コン男がかけた意外な一言とは
失恋の痛手は、ひとりきりの家にまっすぐ帰る気持ちにさせなかった。2人用の並び席をひとりで使用している男性がいたので、半分相席で使わせてもらうことにした。
席に着くなり美姫は、パイントグラスになみなみと注がれたヘイジーのIPAを一気にあおる。とりあえず深く酔ってしまいたかった。空白の土日は、二日酔いで埋めるつもりだったから。
ビールを流し込んだ後、大きな吐息をはくと、心の中が少しだけ軽くなったような気がした。微かな炭酸の刺激も胸の痛みをほのかにやわらげた。
そして、しばらくぼんやりとグラスを進めていると──相席の男性が自分に視線を向けているのに気づく。ちらりと目をやると、その男は突然、話しかけてきた。
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第12話:金曜夜だけ会えるコンサル彼氏。月曜に「会いたい」と甘えたら、まさかの理由で断られ…
『今日の晩、会いたいの』
気がつけば美姫は、デスクに戻るなりLINEを開き、彼に連絡をしていた。業務中であることはわかっている。だが、手を付ける仕事もなく、よりどころは拓海しかなかった。
『まだ月曜だけど、今晩少しだけ、時間取れないかな』
『いつもの店で待っている。会いたいの』
『まだ?』
たった一言でもいいから拓海の言葉がほしくて、何通もLINEを連投する。拓海と繋がる。それだけで救われそうな気がしたから…。
第12話の続きはこちら
第13話:「子どもは作らない」と約束して結婚して1年。夫に妊活を求められたバリキャリ妻は…
志保里は大手広告代理店でメディア関係の仕事をしている。そのコミュニケーション能力の高さと敏腕な仕事ぶりは、33歳にして大型プロジェクトの統括を任されるほど。自他ともに認めるバリキャリだ。
― そんな私がまさか、シェフと結婚することになるなんてね…。
志保里は、愛する人と共に暮らす幸せをかみしめる。
有名料理店のシェフと、オフィス街で働く広告ウーマン。接点などほとんどなさそうな二人の出会いは、およそ1年半前のことだった。
第13話の続きはこちら
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