2024.06.18
東京3C男子 Vol.2◆前回のあらすじ
上京したばかりの春香は、年上のカメラマン・光司と交際中。アートや文化的偏差値が高い彼の存在に魅了され、春香の感性も磨かれていく。
仕事も順調で、カメラマンと付き合う醍醐味を味わっていたが…。
▶前回:富山から上京して中目黒に住む女。年上のカメラマン彼氏に夢中になるが…
カメラマンの男/春香(23歳)の場合【後編】
春香が光司と交際をはじめて、1年ほどの月日が経った。
「たまたまジャック&ベティで観たトリュフォーの光の使い方と構図が最高だったんだよね。もう一度見にいきたいくらいなんだよな」
いつもの恵比寿のバー。夢中で語る彼の横で、春香は相変わらず笑顔で頷く。交際当初と違うのは、春香があの頃よりカルチャーやアートの造詣を深めていることだった。
すでに春香は、光司の語ることはだいたい理解できるレベルになっている。
今の言葉を翻訳するとすれば、『横浜・黄金町にあるミニシアターで、古いフランス映画を見てその映像技術に感動した』というところだろうか。
「へぇ。横浜に行ったんだ。仕事で?」
「いや…なんとなくひとりでフラフラとね」
「それなら私も誘ってよ。横浜ならみなとみらい行って、赤レンガでスイーツを食べたかったな」
春香は流れでなにげない願望を口に出す。すると光司は、ウイスキーグラスを口元に運ぶ手を止め、鼻で笑うのだった。
「…キミもそういうところに行きたがるんだ」
田舎者の23歳女子の一面が、ふいに出てしまったことにハッとする。
「僕はムリ。あの界隈なら、伊勢佐木町や野毛の方が好きかな。スイーツとか、ハリボテのフォトジェニックは好きじゃない」
「だよね…」
光司は、仕事以外で観光地やテーマパークに行ったことはないという。大衆的なバラエティや胸キュン系映画も、わかりやすく苦手だ。彼の美意識に合わないのは十分納得できる。
ただ…共に時間を過ごす相手としては、消化不良の部分があった。
― トリュフォーも気になるけれど、コスモワールドの観覧車に乗ってみたかったのにな。
カメラマンだからとか関係ない。
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