2024.07.18
日々、たくさんの美食や良店と出合う、グルメの世界で生きる大人たち。
そんな食のプロが驚き感動した、東京の注目店をご紹介!
ピザ、ビストロ、焼肉、イマドキ酒場まで……満足感たっぷりの6軒がこちら!
ライター歴26年。ゴルフとお酒をこよなく愛する江戸っ子。毎月、本誌でのライティングに複数企画携わる。美食を求め、よく出没するエリアは銀座、築地、月島、勝どき。
まるでラボのような雰囲気の『400℃ PIZZA TOKYO』の店内に鎮座するコンベヤーオーブン。その上を、生地が流れていく様は、高校時代、某ピザチェーンでバイトしていた私には、懐かしさすら覚える光景だ。
だが同時に、ピザを焼く熱源には、薪>電気>ガスというヒエラルキーがあると思い込んでいた身からすると、本当に美味しいピザにありつけるのか、懐疑的な気持ちも湧いてくる。
が、それもひと口味わうまでの話。岡山に本店を構え、某レストランサイトで全国1位を獲得したというのもそのはず、熱々の生地にかぶりつけば、感動のあまり言葉も出ない。
トッピングもチーズも生地も素朴なのに、なぜ?その答えが知りたくて、もう1枚、もう1枚、と手が伸びる。
【感動に震えたピザの秘密は生地にあり】
加水率を高くすることで、しっとりした風合いに。
こねると強いグルテンが出るため、小麦と水を軽く混ぜただけで自然とくっつくのを待つ。
多くの人に食べてもらうため、東京では熱源を変更。
岡山の本店の味を再現するため、ガスではこの設定温度と焼き時間がベストという結論に。
麺棒ではなく手で伸ばして成形すると、生地がリラックスし、外はクリスピーで中はふわモチな食感に。
また、いびつな凹凸が食感にコントラストを生む。
◆
店を後にして思うのは、洗練を極めるとシンプルへと行き着く、ということ。
金銭の多寡ではない、大人の本当の満足感って、そういうことなんだと思う。
ライターに留まらず、花やインテリアのコーディネーターなど、多岐にわたり活躍。シャンパンを愛するあまり、銀座で自身のシャンパンバーを営むという一面も。
美味しい物とワインで、仲間とワイワイしたいなーって時ないですか?もちろん、リーズナブルなお値段でね。そんな希少価値のお店があるのですよー。
いまや世界で一番美味しいレストランがそろうグルメ大国ニッポン。中でもレストランがしのぎを削るトーキョー。の下町、小伝馬町にまさしくそのお店があります。それが、『TROMPETTE』。
シェフが管楽器を好きなことから店名はトロムペット。小伝馬町駅から大通りを路地に入ったら、トランペットを看板代わりに飾っている店を探してくださいね。
2017年のオープン以降、人気がうなぎ登り状態。コロナ禍中はふたり客がほとんどで、ここでプロポーズすると100%の成功率という伝説まで。シェフがひとりで切り盛りする小さなビストロなので、貸し切り利用も多い。
お料理はどれもボリューミーで大胆な盛り付けなので、料理が出て来るたびに歓声が沸くはず。何度でも乾杯しましょ。
ズワイガニたっぷり!この迫力に歓声必至です
映え狙いではない圧巻のボリューム。
ズワイガニの濃厚なリゾットとブッラータ・チーズ。ビスクソースでどうぞ。¥5,800。
エシャロットソースでいただく「ポルチーニムースを詰めた牛フィレのパイ包み焼き」¥8,400。
「岩手県産 短角牛のタルタル」(¥5,600)はシンタマの部位を使用し、溢れんばかりのフライドポテトとともに。量は4人分が目安。
ワインは¥6,000~、遠慮なく飲んで!
シェフが吟味したお手頃価格のフランスワインがそろっているのでペアリング的に飲むことも可能(飲まない場合はチャージが¥3,000)。
肉を糧に生きる肉食系ライターとして雑誌やwebに執筆。趣味はひとり焼肉とミートリップ(肉旅)。『叙々苑』の全国制覇を目指して“叙々活”中。好きな部位は肩ロース。
ディープ系の町焼肉なら関西に勝るものなし、と長いこと思っていた。
煙がもうもうと立ち上がる狭い店で友人と肩を並べて冷えたビールを飲みながら、気ままに肉を焼く。そんな焼肉好きの恍惚体験を叶えてくれる店が、東京・立石の『焼肉幸泉』だ。
昭和のムードが色濃く残る商店街で、43年前に祖母が始めた小さな焼肉店を受け継いだのは安 龍秀さん。噂が噂を呼び、2025年まで予約で埋まる店になるとは「想像もしていなかった」と話す。
高校卒業後、都内の有名店で肉の扱いを学んだ安さんのポリシーは「銘柄や等級にしばられず、本能的に美味しいと感じる焼肉を追求する」こと。
ゲストが食べるスピードを見ながら、肉の部位に合わせた下味をつけて提供する。桃色に輝くタンやにんにくダレで食べる赤身など、ド直球の旨さに悶絶。
「赤身角切」¥1,500。
国産ホルスタインのシンシン。面を焼きつけ、中までしっかり熱を入れると驚くほどの柔らかさに。基本のつけダレはなく、肉に合わせて提供。にんにく醤油ダレにつけると昇天!
「ユッケ焼き」¥2,000。
祖母から引き継いだという花型の鋳物は熱伝導に優れ、じんわりと火が入る。内ももを使う店も多いが、きめ細かい肉質のリブロースを使用。しっとりした脂がユッケの旨さを底上げ。
「タン塩」¥2,000。
判の大きさを見ながら、ほぼ誤差なしでカット。脂肪分が多い部位なので、さっぱりと梅ダレでいただく。もみだれには塩胡椒にごま油、たっぷりのにんにくと隠し味に日本酒も少々。
◆
関西の焼肉カルチャーをも凌駕する“腕力”に心が奪われる。
「なぜ、焼肉が好きなのか?」と聞かれたら、無条件に心がときめくイベント性があるからと答える。
ロースターと肉を囲めば、ファミリー連れもカップルもみんなが笑顔。幸福の象徴ともいえる焼肉店の原風景に心が癒されるのが、野方の『三宝苑』だ。
子どもの頃から家族で通った思い出深い焼肉店。元オーナーから継ぎ手を探していると聞き、手を挙げた木村徹皓さんは焼肉店を営む実弟(高円寺で大人気の『焼肉ここち』の店主)や友人のアドバイスを得ながら、焼肉店の原風景を想起させる焼肉店を目指す。
肉は和牛や国産牛に限定せず、味つけとカットで勝負の心意気。
縦切りの白髪ねぎを巻いて食べるタンや、すりたての生姜と醤油ダレをしっかりもみこんだ三宝苑ロースなど、焼肉店に通う高揚感がよみがえるメニューが目白押しだ。
「ハラミ」¥1,200。
USプライム牛のハラミは、塩かタレか選ぶことができる。タレの場合は、季節のフルーツを使った秘伝のタレで下味をしっかりともみこんで提供。芝浦直送の上ハラミと食べ比べても。
「三宝苑ロース(しょうが味)」¥1,100。
薄切りのロースにしっかり効いた生姜がクセになり、リピーター続出。もみダレには干ししいたけや昆布なども。注文が入ってから生姜をするため、フレッシュな風味を堪能できる。
「タン塩」¥1,800。
肉は冷凍をせずにチルドの状態で仕入れ、焼きやすいようにやや厚めにカット。さっくりとした歯ごたえは絶妙なカットの技にあり。にんにくやごま油の下味で、パンチのある味わい。
◆
独創的なアイデアで、東京焼肉のトップを独走する日もきっと近い。
■店舗概要
店名:三宝苑
住所:中野区野方5-19-10
TEL:03-3330-3167
営業時間:17:00~(L.O.22:00)
定休日:不定休
席数:テーブル48席、大個室1(28席)
フードライターの先駆けとして食ひと筋40年余り。立ち食い蕎麦からグランメゾンまで、“食に貴賎なし”が信条。人生で最も多く食したのは鮎の塩焼きで、その数約6,000尾。
面白い店ができたと聞いて赴いた先は西武池袋線・東長崎駅。昭和の趣を残す商店街の一角に、今年オープンしたのがここ『飲食店 氵 さんずい』。
まるでカフェのような空間が広がるイマドキ酒場である。店構えがユニークならお酒もまた然り。
燗酒に魅せられた店主・鈴木 淳さんによる、常時40種以上という燗酒に適した日本酒のラインナップが圧巻だ。
「燗酒は味に余計な複雑さがなく、料理に寄り添ってくれる。冷めていく時の香りの変化も好きですね」と語る鈴木さんは、料理人としても星付き和食『六雁』などで修業した実力派。
その腕のほどは、カンパチに煎り酒で下味をつけた菜の花を合わせるセンスの良さや、専門店顔負けのスパイスカレーなどから窺える。
「カボチャのマッシュと生ハム」¥600。生ハムの塩味にカボチャの甘みがマッチ。
2人前をゆうに超える盛りの良さも嬉しい「サフォークラム肉のスパイスマリネロースト」¥1,000。クミンの香りが食欲を刺激。
パウダーやスパイスを12種前後ブレンドする「〆のスパイスカレー」¥700。
カレーは日によって内容が変わり、この日はポークカレー。
こだわりの燗酒は1合¥900〜!
ひと皿300〜1,000円で気ままに楽しめる小料理に、温度帯にもこだわった渾身の燗酒を合わせればまさに至福。
毎日でも通いたくなるコスパ抜群の一軒だ。
■店舗概要
店名:飲食店 氵 さんずい
住所:豊島区南長崎5-17-15
TEL:03-4400-0115
営業時間:ランチ 11:30~14:00
ディナー 17:30~(L.O.21:30)
定休日:不定休
席数:カウンター3席、テーブル12席
編集長8年目となりましたが、まだまだ自身を食通とはおこがましくて言えません(汗)。あ、インスタを再開しました!日々、食べまくっている逸品を載せまくります!!
プライベートでは自宅のある三宿近辺で飲むことが多く、歩いて行ける三軒茶屋はもはや“庭”。行きつけの銭湯もあり、ひと風呂浴びて向かいたいのは居酒屋だ。
三茶の名店『うち田』は大好きだが、ちょいお値段が張るので、どこかないかな?と探していたところ、昨年8月に誕生した『居酒屋ひでじろう』を知った。
クオリティに一抹の不安を感じたが、席に着くなり供された「タルタルあじふらい」を食して、杞憂であったと気付く。タルタルをケチ臭く盛らず、どっさりあるところも好ポイント。
店の顔である直野秀治郎さんの矜持すら伝わってくる逸品に感動しつつ、次々に思いのままメニューを頼む。そして、日本酒&焼酎を浴びるように飲んでいく。
「しょうが焼き」は、直野さんが100軒食べ歩いて研究したというメニュー。
肩ロースを使用し、5~8mmと厚めなので食べ応えあり。
「ポテさら」はわさびとピンクペッパーが効いていてピリッと爽やか。
「トムヤムしらたき」はオープン当初から女性人気の絶えないひと品。
〆のメニューである「ナポリタン」はケチャップを火入れして酸味を抑え、酒に合う濃い目の味付けがいい。
激安の秘訣は、食材ロスが出ないよう徹底した食材管理によるもの。
セレクトにこだわる日本酒や焼酎も飲み放題!
60分があっという間だと気付くこともそうない。そして、ほろ酔いで三宿に帰る道中は、ずっと満ち足りているのだ。
illustration/Yuko Saeki
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