クリスマスや忘年会、何かとイベントが多く待ち受けている12月。
コロナ禍ということもあり、今年はゆっくりホームパーティー!という選択肢もあり。
そんな時、差し入れで持っていったら格好良い、高コスパなワインを紹介しよう。
専門誌からライフスタイル誌まで、幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト・柳 忠之氏。
柳氏が東京カレンダーでワイン連載の担当となって5年目。ワインの勉強に日々奔走する編集・嵩倉の質問に、いつも親身になって答えてくれる。
どや顔で持っていきたいチリの歴史的品種とは
――コロナも落ち着いてきたので、感染対策には万全を期したうえで、友だちの家でホームパーティーをすることになりました。ワイン1本持参なんですけど、柳さん、東カレのワインコラム担当として恥ずかしくない1本を教えてください。
柳「今持って行って、どや顔できる1本といったらシャルル・ラショーのアリゴテかな〜?」
――ほうほう、アリゴテなら3英世でおつりが出そうですね。
柳「いや、15諭吉くらいするんだよね、このアリゴテ。」
――どひゃ〜。そんなマニアックなワインじゃなくても結構です。味にはうるさいけど、ネームバリューにはこだわらないメンバーで。
柳「でも、パンは『ラトリエ ドゥ プレジール』じゃなきゃいやん……とか言う人たちでしょ?そしたら、あれかな、チリのパイス。」
――パイス……品種名ですか?でもチリなら“チリカベ”、カベルネ・ソーヴィニヨンでは?
チリのパイス
「Bouchon Pais Salvaje Maule Valley(ブション パイス・サルヴァヘ マウレ・ヴァレー)」
1970年代、チリのマウレ・ヴァレーに創立したワイナリー。
「サルヴァヘ」とはワイルド、野生という意味。自生するパイスは他の木の枝に巻きついて実をならすので、収穫には5メートルのハシゴが必要。野イチゴのアロマが華やかに香り、軽やかな味わい。
2,970円/WINE TO STYLE TEL:03-5413-8831
◆
柳「うん。クラリン(編集担当の嵩倉)の言うとおり、チリで最もメジャーで世界に通用するブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンだと僕も思う。けど……。」
――けど?
柳「カベルネ・ソーヴィニヨンっていろんな国で造られていて競合が激しいし、誰かがオーパス・ワンとか、シャトー・マルゴーとか持ってきたら悔しいじゃん。」
――悔しいというより、恥ずかしくてどんなに自信があっても〝チリカベ〞は出せません(涙)。で、パイスっていったいどんな品種なんです?
柳「15世紀末にアメリカ大陸が発見されると、キリスト教の宣教師たちによる先住民への布教活動が始まった。
布教にワインは不可欠なのに、アメリカ大陸にはワイン用のブドウがなかったから、宣教師たちはヨーロッパから苗を持ち込んだんだね。それがカリフォルニアのミッション、チリでパイスと呼ばれる品種だ。
じつはチリワインが世界的に有名になる90年代まで、チリのブドウ畑を席巻していたのはパイスだったんだよ。」
アルゼンチンでの品種名はクリオージャ
パイスはアンデスの向こうでは別名で親しまれる。
オススメはエル・エステコ「オールド・ヴァイン 1958 クリオージャ」2,750円/スマイル TEL:03-6731-2400
◆
――なんと!そんな歴史ある品種なんですね。
柳「もともと大量生産向きだし、あか抜けない性質もあって、カベルネやシャルドネに取って代わられた。ところがまだこの品種が残っている産地があり、最近はそこで面白いワインが造られている。
この「パイス・サルヴァヘ」は自生するパイスから造られた赤ワイン。今どきのゆるっとした味わいで、さっきの蘊蓄も語ればパーティーの主役は間違いなし。」
――では嵩倉、チリのパイスについてどや顔で語ってきます!
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