結婚したら、“夫以外の人”に一生ときめいちゃいけないの?
優しい夫と、何不自由ない暮らしを手に入れて、“良き妻”でいようと心がけてきた。
それなのに・・・。
私は一体いつから、“妻であること“に息苦しさを感じるようになったんだろう。
「妻と女の境界線」一挙に全話おさらい!
第1話:結婚3年目の32歳女が、夫に秘密で通う“ある場所”とは
私は、出社前に家を整えるこの時間が、たまらなく好きだ。
自分が「社会人としてしっかりと働きながら、夫をキチンと支えている妻」なのだと思えてくる。そうすると、胸の内がなんともいえない充実感で満たされるのだ。
「そろそろ行かなくちゃ!出社前に“彼”の顔も見たいし…」
時計を見ると、いつのまにか8時を回っていた。週初めの今日は、1週間の労働生活に向けて心も体もチャージしたい。だから、出社前にどうしても“彼”に会いたいのだ。
私は、シャネルのローズ色のリップを唇に塗り、急いで家を出た。
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第2話:「今夜は無理…」結婚3年目、夫の誘いを妻が断る本当の理由とは
「なぁ…麻由。今日、いいだろ?」
「…」
ねっとりとした目で見つめられると、つられて私の気持ちも高揚していく。
さっきまで、「彼は私に関心がない」と拗ねた気分になっていた。だからか、こうして彼から求められることに対して、思った以上に喜びを感じている自分がいる。しかし…。
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第3話:「部屋に誘われるかも」年下男と急接近し浮かれる32歳女。しかし予想外の展開に
「麻由さんの学生生活も、素敵じゃないですか。たくさんの友達と充実した青春時代を過ごして。だから、こんなに魅力的な女性になったんだと思います」
「えっ!?」
最後の一言に動揺して、思わず立ち止まる。10歳も年下の男性から“魅力的な女性”と言われて、嬉しくないわけがない。
平静を装う余裕などなくなってしまい、反射的に彼の目を見る。
目が合うと彼は、静かに微笑んだ。
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第4話:結婚3年目、夫からの誘いを断ったら…。孫を催促する義母を巻き込んでの大騒動に
「ずいぶん楽しそうにLINEしてたみたいだけど。誰と連絡してたの?」
目の前で、浩平が不機嫌そうな表情で腕を組んで立っている。
圭吾くんとLINE交換した夜。早速彼から連絡が来て、やりとりが盛り上がってしまった。夫が帰宅していたことにも気づかずに…。
“夫からの質問になんと答えるべきか”を、ものすごいスピードで考える。そして……。
「大学の後輩なの」
「後輩?」
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第5話:会社に泊まったはずの夫が、見たことないスーツを着て帰ってきた。問い詰めたら…
― 仮に子どもを産んだとしても、この人と一緒に、ちゃんと育てられるのかな。
そんな不安が今、初めて頭をよぎる。
これまでは、心から「子どもが欲しい」と思っていた。というか、「子どもは当たり前につくるものだ」と考えていた。
それに、義母からも会うたびに急かされるから、「早く子どもを産んで、このストレスから解放されたい」と焦っていた。
― でも冷静に考えたら、この状況で子育てするのって、結構キツくない?
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第6話:「出張だって言ってたのに!」クローゼットを開けて驚愕。夫の上着のポケットから出てきたのは…
ヒルトン東京の中華レストランで食事をし、ほろ酔い気分でお店を出た。「ごちそうさまでした」と笑顔で言われたあと、「ところで麻由さん、よかったらこの後…」と圭吾くんがささやく。
― この後、なんだろう?まだ21時だし、もう1杯飲もう、とかなら全然アリだけど…。
「麻由さんと、一緒に行きたいところがあるんです」
不意に、圭吾くんがグッと私に顔を近づけてきた。ほんのりと赤い顔でそんなことを言われたら…私は行き先も聞かず、つられてコクリとうなずいてしまった。
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第7話:夫が出張中、男と楽しむ32歳女。浮かれて終電を逃し、真夜中に行き着いた場所とは
「少し前にパスコード変えたので大丈夫だと思ってたんですけど、寝てる間に指紋認証で開けられちゃったみたいですね。それで、麻由さんと連絡を取ってるのを知ったんだと思います」
ため息をつく圭吾くん。先日の亜美の様子を見ても、日ごろからかなり振り回されているのだろう。半年付き合っていたら、かなりストレスが溜まっているのかもしれない。
― そのタイミングで私と知り合った、ってことなのかな。
「彼女がいるのに、どうして私と会うの?って、私も人のこといえないけどね」
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第8話:朝まで一緒にいようと誘われたが、タクシーで帰った女。その後、前のめりだった彼からの連絡が途絶え…
「なんか今日は、麻由さんと色々なこと話せた気がするし。僕はせっかくだから、もっと話したい気分なんですけど」
私が考えていたことと同じことを、彼が言い出すので驚いた。見ると、圭吾くんがとても優しい眼差しで、私を見つめている。その瞳に、思わずキュンとした。
― こんな顔で見つめられたら…一緒にいたくなっちゃうんですけど。
半分開き直るようにして、「ここでオルカラしちゃおっか」と言いかけた瞬間。私は、“あること”を思い出したのだ。
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第9話:夫不在の夜、こっそり男と電話していた女。突然、全てを盗み聞きしていた夫が現れ…
「前にも話したでしょう、大学のゼミの後輩なの。最近、時々ゴハンに行くようになってね」
私の返答に、浩平は不服そうな顔をする。
「この頻度で連絡取ってメシ行ってって、普通なくない?相手の男、下心とかあるんじゃないの?」
― 下心って…。浩平にだけは、言われたくない。
相変わらず自分のことは棚に上げ続ける浩平。私はついに、耐えかねて大きな声を上げた。
「ねえ。そんなこと、あなたが言える立場なの?」
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第10話:「彼があなたと出会う前から付き合ってます!」10年越しの不倫女が妻の前に現れ…
平日の朝8時前。インターホンが鳴り、私はモニターを覗き込むと、小綺麗な身なりをした女性が立っている。
首をかしげながら通話ボタンを押すと、私が話すより先に、彼女が口を開いた。
「おはようございます。麻由さん、でしょうか?」
「はい…そうですが?どなたでしょうか?」
「私、あなたの旦那さんとお付き合いしています、佑里香といいます」
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第11話:「ご主人を譲ってください」と夫の浮気相手から言われた32歳女。ショックのあまり…
「浩平を私に譲っていただきたいの」
夫の元カノであり、つい最近まで不倫関係にあったという女・佑里香からの突然の提案。言いたいことだけ言うと、彼女はテーブルに伝票を置き、去っていこうとする。
― なに、それ。
思わず立ち上がり、佑里香を追いかけて腕をつかんだ。
「『譲っていただきたいの』って言いますけど、浩平はモノじゃないです。それにもし、私が彼との離婚を決めたとしても…浩平がまた、佑里香さんを選ぶとは限らないじゃないですか」
「いいえ、彼は私を選ぶわ」
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