20代後半から30代にかけて訪れる、クオーターライフ・クライシス(通称:QLC)。
これは人生について思い悩み、若さだけが手の隙間からこぼれ落ちていくような感覚をおぼえて、焦りを感じる時期のことだ。
ちょうどその世代に該当し、バブルも知らず「失われた30年」と呼ばれる平成に生まれた、27歳の女3人。
結婚や仕事に悩み、揺れ動く彼女たちが見つめる“人生”とは…?
「QLCな女たち~平成生まれのジレンマ~」一挙に全話おさらい!
第1話:26歳女が、年収700万でも満足できなかったワケ
― 私、このままでいいのかな。
SNSを見ると、同世代でもやたらといいブランド物を持っている人たちもたくさんいる。もっと稼いでいたり、輝いている子もいる。
「何だか中途半端だな…」
もっといい暮らしがしたいけれど、それを声に出して言うのは恥ずかしい。いい人と出会って早く結婚したい気持ちもあるけれど、仕事も諦めたくない。
そんなふうに思い悩んでいた私に、ある夜、衝撃的な出会いがあったのだ…。
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第2話:交際4年でも結婚できず、仕事にも夢中になれない女。起業した元同期の男と2人きりで食事した結果…
歳を重ねるたびに、チャレンジ精神や上昇志向がなくなっていった。変わることが怖くなっている自分もいる。
だから、大手日系メガバンクという“THE・安定”を捨てて転職した健太郎は、本当にすごいと思うのだ。…けれども彼は、さらに上をいっていた。
「ところで健太郎は?転職先での仕事は順調なの?」
私は質問しながら、サクサクとした香ばしい皮と少し甘い鹿肉のコンビネーションがたまらない『蝦夷鹿肉のパイ包み』に箸を伸ばす。
「あれ、言ってなかったっけ?俺、半年前に会社辞めたんだよ」
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第3話:「セレブ婚で、自分より格上になった友人が許せない」嫉妬に狂う専業主婦は、低収入な夫に向かって…。
ついこの前まで「私は幸せで満たされている生活を送っている」と信じて疑わなかった。
誰よりも早く結婚し、手に入れた安泰な生活。大手日系メーカーは潰れることもないだろうし、福利厚生も手厚い。翼といれば、とりあえず老後も安心だ。
そう思っていたはずなのに、最近は友人たちの結婚相手や暮らしぶりについて聞くたびに、心がヒリッとする。
そもそも結婚する前まで、真依ちゃんはこんなにセレブな感じではなかった。東京の下町出身で、実家暮らし。服装もどちらかというと地味で、ブランド物なんて持っているようなキャラではなかったはず…。
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第4話:“医者狙い”で婚活していた26歳女が、交際3ヶ月で平凡なサラリーマンと結婚した、したたかな理由
「葵は、年収1,000万以上の人がいいんだって。誰かいたら紹介してね」
菜穂が旦那さんに、耳打ちしている声が聞こえてくる。
そう。私はどうせ結婚するならば、それくらい稼ぐ男性と一緒になりたい。最低でも年収1,000万以上。…ただ、3,000万なんて言わない。だからそんなに高望みじゃないはずなのに、意外と条件に合う人は見当たらないのだ。
いつの間にか参列者は皆、自分の席に戻っている。私は拾ったブーケを、無意識のうちにギュッと抱きしめていたのだった。
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第5話:西麻布にある、入り口も見つけられないような会員制バーの奥で…。27歳女が目撃した、衝撃の世界
「そういえば、この前会ったお姉さんと連絡取ってる?」
「亜希さんのこと?」
実は前回会った際に、彼女と連絡先を交換していた。ただ私から連絡するのは少し気が引けて、結局何もしていないままだったのだ。
「バブル空間、楽しかったね」
「うん。…ちょっと連絡してみる?」
こうして私たち迷える3人は、亜希さんにLINEしてみることにしたのだ。
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第6話:お金すら自由に使えない専業主婦。夫が出勤した隙を見計らって、財布から咄嗟に抜き取ったモノは…
夫を見送った後、慌ててリビングに戻ってお財布の中のレシートを取り出す。「葵と美咲と飲んだ」とは伝えていたものの「派手な亜希さんや、その周りにいた男性たちと一緒に飲んだ」とは言いづらくて、翼くんには黙っていた。
あの場は亜希さんが奢ってくれたけれど、気がつけば終電を逃してしまい、結局タクシーで帰ってきたのだ。
西麻布から、自宅がある江東区までは結構遠い。だがタクシーに揺られながらフワフワとした楽しい気持ちに包まれていたから、後悔はしていない。
でもそんな気持ちになったことも、高額なタクシー代のことも…。翼くんには言えなかった。
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第7話:たった1時間で500万円分も散財するセレブ妻。満ち足りているはずの女だが、どこか様子がおかしくて…?
「あ。亜希さんが来たよ〜」
振り返ると、そこに亜希さんが立っていた。今日も彼女はゴージャスなオーラを振りまいていて、一目見た瞬間、思わず背筋が伸びる。
「ごめん。悪いんだけど、ちょっとだけ付き合ってもらってもいい?」
「はい…!」
こうして遥の就職相談会をするはずが、私たち3人は亜希さんの用事に付き合うことになったのだ。しかしここで、人生初のすごい光景を目にすることになる…。
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第8話:「パパ活とは違うから」と、バーキン片手に微笑む25歳女。いきなりセレブになった理由は、まさかの…
気がつけば誕生日も過ぎて、27歳になった。26歳とは響きが違う。一気に老けた気がして、ほうれい線を指でクイッとあげてみる。まだシミも、たるみもない。でも以前よりは、肌の衰えが気になっている。
「売れるうちに、早いとこ誰か見つけないと」
丸の内の駅ビルにある化粧室で、リップを塗り直しながら自分の顔をマジマジと見つめてしまう。
この後、さらにショックを受ける出来事が待ち受けているとも知らずに…。
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第9話:明治大学卒、年収800万の男。悪くはないけれど、結婚相手としては“妥協”な気がする27歳女は…
生まれも育ちも東京で、明治大卒の27歳。顔は私からするとカッコイイ部類に入ると思っているけれど、一般的に見たらどうなのかはわからない。
サッカーが好きで、2週間に一度フットサルで汗を流している。どこにでもいそうな、普通に素敵な人。それが私の彼氏だ。
以前までは、純粋に「好き」という気持ちだけで付き合っていた。でも結婚の話が出てきたときに、私は気づいてしまったのだ。
彼以上にいい人は、もっといる。「翔太との結婚は“妥協”ではないか」と思い始めていることに…。
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第10話:3対3の食事会に15分も遅刻してきた27歳女。それなのに、気になる男性とイイ雰囲気になれたワケ
一生懸命やるのはカッコ悪い。少し余裕に見せているほうがいいし、必死なんていうのは一番ダサい。そう思っていた。
でもなぜか、今はそう思わない。むしろ仕事に真摯に向き合って、がむしゃらに働いている自分が愛おしく思えた。
「…私、必死に見えますか?」
「うん。でも私は、今の葵ちゃんのほうが好きだよ。人間らしくて」
仕事を頑張った後に飲むビールは特別な味がする。その美味しさを噛み締めながら、朱莉さんの言葉がじんわりと心に広がっていった。
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第11話:白昼堂々、夫が出張中に浮気相手を自宅に呼ぶ女。“幸せ”アピールの裏にあった真実は…
優しい夫を送り出し、私も慌てて身支度を始めた。
前まで“もう仕事なんてしたくない”と思っていた。責任感もあるし、失敗も許されない。
だからお気楽な専業主婦になることに憧れ、私は学生時代から交際していた彼と早々に結婚して、自分が思い描いていた通りの人生になったと信じていた。
でもここ最近色々なことがあり、私の心情に変化が現れ始めた。何より自分でも驚いたのが、“社会の中で、ひとりの人間として認められたい”という自我の芽生えだった。
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