2021.12.31
最終学歴、GMARCH。 Vol.2自分がまさか、こんなことに手を染めるなんて…
絵里香が手を出してしまった“あること”。
それは、婚活のマッチングアプリだった。
絵里香はまだ19歳。もちろん、結婚など考える年齢ではない。
ではなぜ、マッチングアプリに手を出そうと思ったのか。それにはある理由があった。
― どうして青学の子たちはみんな、あんなに華やかな生活ができるのかしら?
ずっと不思議で仕方なかった絵里香だったが、周りの友人たちをよく観察した結果、ある結論に達した。
それは、友人たちは「実家が金持ち」か「金持ちの彼氏がいる」かのどちらかだ、ということだった。
つまり、地方から出てきて、親からの仕送りと家庭教師のバイトで何とかなることではないと、絵里香は悟ったのだ。
このことに気がついてから、真面目にバイトするなんてバカらしくなってしまった。
―「実家が金持ち」ではないんだから、私は「金持ちの彼氏を見つける」しかないんだわ。
まるで、ゲームの攻略方法を導き出したかのように、絵里香はこう割り切るようになったのだ。マッチングアプリを使った“金持ちの男探し”は、驚くほど順調に進んだ。
『19歳』『女子大生』というだけでも、マッチング市場では人気が高い。
あっという間に多くの男性からのメッセージを受け取り、その中から選んだお金を持ってそうな男性たち数人と、並行してデートをしていく絵里香。
連れて行ってくれるお店は、流行のカフェのような場所から、高級ホテルのレストランやミシュランに掲載されるような名店まで様々。
そんなお店の様子をスマホで撮って、Instagramにアップするだけでも優越感に浸ってしまうのだった。
またある時には、プレゼントと称して、10万円を超えるアクセサリーやバッグをプレゼントされることもあった。
そして、そのプレゼントをまたInstagramにアップして『いいね』をたくさんもらえる日々。
そんな絵里香のInstagramには、広告会社やメーカーから商品提供を申し出るダイレクトメッセージも送られてくるようになり、確実に「青学オシャレ女子」の仲間入りを果たしていくのだった。
― 何だか私、青学オシャレ女子というよりも、港区女子みたい…。
自分のことを少し苦々しく思いつつも、贅沢な食事やモノを手に入れらえる生活を、絵里香は捨てることができなくなっていた。
◆
マッチングアプリを始めてから3ヶ月。
絵里香は正真正銘の「青学オシャレ女子」として、周りの友人たちにもその存在を認められるようになっていた。
― でも、これって本当に私がやりたかったことなのかな…?
青学オシャレ女子の仲間入りを果たしたにもかかわらず、心はそこまで満たされていないことに、絵里香は気がついてしまったのだ。
マンションの狭いクローゼットには、少し前とは違い高価なバッグやアクセサリー、広告会社から提供してもらった洋服などが詰まっている。
そして、それらを身に着ける絵里香自身も、周りから見たら比べ物にならないくらいに華やかに変身しただろう。
しかし、一見「青学女子らしい華やかな生活」を送る絵里香だが、身に着けるものが華やかになればなるほど、自分の中身がその変化に追いついていないことに気づかされるのだった。
― 確かに、少し前よりオシャレになったけれど、着飾ったところで私自身は別に何も変わらないんだわ…。
3ヶ月前に得たゲームの攻略方法から、着実に行動に移して華やかさを手に入れたものの、そこには思い描いていたほどの楽しさはなかったのだ。
― 結局、私が本当に求めていることは、華やかな女の子になることではなかったのかな。私は一体何がしたいのかしら。何のために、上京して青学に通っているのかしら…。
この気持ちは、決して絶望ではない。しかし、華やかな生活を手に入れた今だからこそ、“自分が本当に求めていること”に向き合わないといけなくなったのだ。
それは、たやすく手に入るマッチングアプリで得た華やかな生活よりも、ずっとハードルの高いものなのかもしれない。
そのとき、絵里香のスマホに通知が届く。それは、マッチングアプリでの新たな男性からのメッセージだった。
少し前ならすぐにチェックしていたが、華やかな生活にも興味が失せてきた絵里香は、そのメッセージをすぐにチェックしようという気にはなれなかった。
― 自分が本当にやりたいことに向き合うには、マッチングアプリをやってみるのも必要なことだったのかな…。
そんなことをぼんやりと思いながら、クローゼットの扉を閉めたのだった。
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ちょっと大袈裟😂
とりあえず、裕福ではないのに学費払って仕送りもしてくれているご両親が気の毒だ。
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