<8月1日付をもってスポーツ部勤務を命じます>
私の新たな配属先は、スポーツ部らしい。スポーツに関わったのは、高校の体育の授業が最後だ。
― スポーツ部って、ちょっと畑が違うっていうか。みんな体育会系なんでしょ?どうして私が…。
ゴリゴリの体育会系部員たちとうまくやっていけるのか。勝手な想像に不安になりながら、異動初日を迎えた。
「宇佐美多佳子です。よろしくお願いします」
部員たちに挨拶をして驚いたのは、とにかく服装がラフであること。男性部員のほとんどはTシャツにチノパン、スニーカーだ。
「あー、宇佐美さんね!どうも」
返事までカジュアルだ。数少ない女性部員はというと…。
「お、来たね!多佳子、今日からよろしくね」
「あー!美智子!そっか、美智子もスポーツ部だったね」
美智子は同期入社で、今でもよく飲みに行く気が置けない友達。彼女がスポーツ部にいることだけが、せめてもの救いだ。
早速、ランチがてら仕事を教えてもらおうと外に出たのだが、店に到着するやいなや最近別れた尊との話になってしまった。
「あのさ、多佳子は選ぶ相手を変えたほうがいいよ!だって、今までの彼氏って多佳子には全然合わなかったじゃない」
「相変わらずハッキリ言うよねー!じゃあ、美智子はどんな相手が私に合うと思う?」
「多佳子には年下!ハキハキ物を言うし、意外と引っ張っていくほうが合ってると思うんだよね。今週末、ちょうどいいメンバーで食事会があるから参加決定ね」
― 年下!?これまで考えたこともなかった。絶対に合わないでしょ…。
楽しそうに話す美智子を横目に、私は年下の男性とデートをする自分の姿を想像できずにいた。
◆
食事会の日がやってきた。美智子と一緒に、目黒にあるイタリアンレストラン『リナシメント』へ向かうと、2人の男性が先に到着していた。
「お久しぶりです、美智子さん」
彼は20代半ばくらいだろうか。そして、もう1人の男性に視線を向けてギョッとした。
― ちょっと待って!私のことすっごくにらんでない?
私の正面に座る男性は、どうやらひどく機嫌が悪いようだ。だが態度とは正反対に、肌はツヤツヤでエネルギッシュなオーラに満ちている。
多佳子はひるまずに彼をじっと見る。そう、彼はどう見ても……“あの人”だよね?
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この記事へのコメント
人が集まった時に、雑用とか全て女がやれ!みたいな考えの男子は残念ながらいまだにいるね。これは年上とか関係ないと思う。逆に、飲み物のおかわりとかお取り分けを必死にやってモテようとする女子も一定数いる。
年齢にとらわれず、自分に合う方を選んだほうがいいと思いますね。