夏を美味しく乗り切る! ちょいゴージャスな料理たち Vol.6

小麦も蕎麦も、旬は夏だった

ピッツァ、ラーメン、蕎麦……、粉ものは
梅雨から夏にかけてが美味しい旬の時期だという。

普段、あまり“旬”という概念を向けることのない粉モノ。しかし、移ろいゆく季節が、料理の味や香り、風味などに影響を与えることは言うまでもなく、一年のうちで特に美味しさが際立つ時期=“旬”は、当然、粉モノにも存在するのだ。

「ピッツァは、梅雨に作られたものが最高に美味しい」。そう話すのは、ナポリピッツァの専門店『ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ』の店長を務める山本尚徳氏。本場の世界ピッツァ選手権で連続優勝を果たした、今最も注目のピッツァ職人だ。

「ピッツァの要は、生地。その生地作りで重要なのが、発酵させる時の気温と湿度なんです。通常は24度前後の密閉空間に熱湯を入れ、暖かく湿度の高い環境を作ります。しかし5~6月はこうした手間をかけなくても、生地にとって最適な状況が自然と整う。どんな工夫も自然の環境にはかないません」。絶妙な発酵状態を経た梅雨時のピッツァは、通常よりも小麦の旨みが濃く、驚くほど軽い食感に仕上がるのだ。

また、ラーメン店『麺や 七彩』では毎年8月の1週間のみ、宇都宮にあるラーメン店『花の季』が自家栽培する、新小麦を使ったつけ麺を提供。代表の藤井吉彦氏は「青々とした香りと強い甘み、モチモチの食感は、採れたてだからこそ堪能できる特徴です」と語る。

通常、市場に出回る小麦は、収穫後、ある程度素材の状態が安定するまで製粉され、しばらくの間寝かされることになる。しかし、自家栽培を行う『花の季』では、収穫から製粉までを短期間で進めることが可能。

「新小麦の高い水分量に合わせ、加える水の量を緻密に調整する」という『七彩』の製麺技術とともに、この貴重な旬の味に出合えることを感謝したい。

そして、日本人として忘れてはいけない粉モノと言えば、やはり蕎麦。特にここ数年は、春に種を蒔いて7~8月に収穫を行う“春蒔き蕎麦”という品種が話題になっている。『手打ち蕎麦 炙 多心』の店主・山田心氏にその魅力を聞いた。

「実は、春蒔き蕎麦にも2回の旬がある。最初は収穫したての初夏。この時期は、清涼感のあるフレッシュな香りが特徴です。次に訪れる旬は9月頃。この頃になると素材が熟成され、深みのある味わいを堪能できます」。

旬を知ると、なじみの粉モノも少し特別な逸品に見えてくる。これからは具材やトッピングだけではなく、生地や麺からも季節を感じてみてはいかがだろうか。

ピッツエリア エ トラットリア ダ イーサ

Pizzeria e trattoria da ISA

【5-6月】ナポリピッツァ
日本の梅雨が引き出す美味なるポテンシャル

旨みが凝縮したトマトソースとたっぷりのモッツァレラチーズ、爽やかな香味のバジリコをのせた、ナポリピッツァの代表格、マルゲリータ。イーストはほとんど使用せず、梅雨は余った生地を少量だけ混ぜて、緩やかに発酵を促す。

山本氏によると、「人の手をなるべく加えずに作ることが、美味しいピッツァを作るコツなんです」とのこと。食欲を刺激する香ばしさや、噛みしめるほどに広がる奥深い甘み、何枚でもいただけそうな極めて軽い食感は、生地にとってベストな環境を生み出す、梅雨ならではの魅力と言える。 マルゲリータ ¥1,650

メンヤシチサイ

麺や 七彩( 東京駅店 )

【8月】新小麦のつけ麺
これまでの小麦麺の概念を覆す、芳しき一盛り

まずは旨みの豊富なもろみとおろしたての山葵だけで、麺そのものの風味を感じてほしい。青々しい小麦の香りが鼻に抜けた後、焼き立てのパンを彷彿とさせる甘くふくよかな風味が漂う。小麦ヌーヴォー2013 ¥1,000

テウチソバアブリタゴコロ

手打ち蕎麦 炙 多心

【7-8月】春蒔き蕎麦
身体と心が凛とする、粋な真夏の日本蕎麦

やはりまずは、蕎麦だけを何もつけずにすすり、味わいたい。冬蕎麦とは趣の異なる、若々しく上品な芳香が鼻腔を突き抜けるはずだ。せいろ¥730


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