女といるのが向いていない、男たち。
彼らは傷つくことを恐れ、恋人と真剣に向き合おうとしない。そして、趣味や生きがいを何よりも大切にしてしまう。
結果、彼女は愛想をつかして離れていってしまうのだ。
「恋愛なんて面倒だし、ひとりでいるのがラク。だからもう誰とも付き合わないし、結婚もしない」
そう言って“一生独身でいること”を選択した、ひとりの男がいた。
これは、女と生きることを諦めた橘 泰平(35)の物語だ。
「女といるのが向いてない」一挙に全話おさらい!
第1話:婚約指輪を忍ばせて会いに行ったのに。その後彼女に告げられた、衝撃の一言
麻里亜とは、32歳の時に別れた元カノのこと。
彼女と付き合っていた頃、夜景が見える横浜のレストランでよくディナーをしていたから、唐突に思い出してしまったのだ。
あれから、かなりの月日が経つ。だけど僕はまだ麻里亜のことを引きずり続けていて、結婚はおろか、恋人すらできていない。
…そう。彼女と別れてしまってから3年近く、僕はずっと孤独なのだ。
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第2話:久々に参加した食事会で…。大手外資勤務、手に入らないものはないはずの男が不甲斐なさを感じたワケ
『泰平、今何してる?』
土曜日の昼過ぎ。自宅のソファの上でワインショップの通販サイトを見ていると、樹(たつき)からLINEが届いた。
こんなふうに突然誘ってくるなんて珍しい。僕のフットワークの重さは、彼が一番よく知ってるはずなのだ。訝しみつつ『今日はごめん』と送信しようとしたとき、追加でメッセージが来た。
『今からここで飲む予定なんだけど、来れない?頼む…』
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第3話:食事会で出会った女と、突然の再会。そのとき彼女が発した“ある言葉”に戸惑いを隠せなかったワケ
「あれ?泰平さん?」
代々木上原駅で突然声をかけられたのは、あの食事会から3週間後のことだった。
「灯です。ほら、この前の中華料理のお店で…」
振り返ると、例の食事会にいた“黒Tの女”が、ジム用と思われるバッグを肩にかけ微笑んでいた。一緒に歩いて帰ったことも同時に思い出されて、少し気まずい気持ちで会釈をする。灯という名前は完全に忘れていた。しかし彼女は、なれなれしくこう言い放ったのだ。
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第4話:「気になる女が、他の男ともデートしていて…」何気なく探りを入れた瞬間、女が見せたまさかの反応
「…もしもし?」
「わ、出てくれた!ねえ泰平さん、今何してる?」
自宅でドキュメンタリー番組を見ながらゴロゴロとくつろいでいた、ある日の夕方。灯から突然、電話がかかってきたのだ。
「…へ?今?」
間の抜けた返事に、彼女は少し笑いながら言う。
「一人で飲んでるんだけど。泰平さん、来ない?」
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第5話:今夜はイイ雰囲気だと思ってたのに。舞い上がっていた女の身に降りかかった、最悪な出来事
― 泰平さんみたいなタイプっているようでいないわ。逃したくないな。
そう思いながら微笑みかける。すると彼は、こう言ったのだ。
「ところで灯さ、お寿司は好き?今度よかったら行こうよ」
「え、もちろん!」
酔いが心地よく回っていたし、泰平さんとの距離が会うたびに縮まる嬉しさもあって、私は浮かれていた。
…この直後、酔いが冷めるようなことが起きるとも知らずに。
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第6話:元カノと3年ぶりの再会。帰り道、すがるような目で見つめられた瞬間、男が取った行動は…?
― ああ、緊張する。
僕は意味もなくソファに座り直したり、髪を触ったりして麻里亜を待っている。小さい頃から何度も来ているこのラウンジで、こんなにそわそわしているなんて、なんと情けないのだろう。
待ち合わせに指定したのは、帝国ホテルのラウンジ。いきなり飲みに誘うのもなんだか申し訳なかったし、悩みに悩んだ結果、慣れたこの場所を選んだのだ。
5分ほど経って、ついにそのときが来た。
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第7話:1泊2日のダブルデートで、初めて恋人を男友達に紹介したら…?彼女が見せた、まさかの態度
「麻里亜を探ろうとしてるんだろ?それなら断る」
「違うよ~!親友なのに、会わせる前に結婚するのはないんじゃない?って言いたいの」
言われてみれば、樹と麻里亜を会わせたことは一度もなかった。
「…でも、なんでダブルデート?」
「女がいないと、女の子の性格は見えないんだよ」
やっぱり探ろうとしてるじゃん、とツッコミつつ「お前は誰を連れてくるの?」と尋ねる。すると樹は、思わぬ人物の名を口にしたのだ。
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第8話:ベッドの上に腰掛け、俯いた彼女がポツリ。女が唐突に漏らした、ありえない一言
「お、起きてたか。…これ飲みな。昨日結構飲んでただろ」
「気が利くのね。ありがとう」
ゴクゴクと水を飲む彼女を見て、僕は灯の計らいに感謝する。
「もうみんな起きてた?」
「ううん、樹はまだ寝てる。…灯は起きてたけど」
僕がそう言った瞬間。麻里亜は俯いてしばらく黙り込んだ後、衝撃的な一言を口にしたのだ。
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第9話:彼女とのデート中、いきなり手を振りほどかれて…?女が奇行に走った、許されない理由
「…そろそろ、きちんと話そう」
ヨリを戻した麻里亜と、半同棲状態になって数週間が経った。これ以上うやむやにしたくないと思った僕は、部屋へ泊まりにきた彼女を問い詰めたのだ。
「婚約者はさ、今の状況についてなんて言ってるの?」
すると彼女は、僕の出したミルクティーに視線を落としながら、表情をひとつも変えずに答えた。
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第10話:「なんであのヤバさを見抜けないの?」男が夢中になっていた女に、親友が下した評価
さっきの、突然停まったベントレーから現れた男のことや、麻里亜の幸せそうな笑顔のことをぽつりぽつりと話す。話しながら、改めて気持ちがボロボロになっていくのがわかった。
「…ってわけで二度目の失恋をした。しかも今回の方が、随分きついや」
苦笑することもできず真顔で言うと、樹はソファに腰掛けながら手をひらひらさせた。
「…悪いけど、俺は安心したよ」
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