女といるのが向いていない、男たち。
傷つくことを恐れ、女性と真剣に向き合おうとしない。そして、趣味や生きがいを何よりも大切にしてしまう。
結果、彼女たちは愛想をつかして離れていってしまうのだ。
「恋愛なんて面倒だし、ひとりでいるのがラク。だからもう誰とも付き合わないし、結婚もしない」
そう言って“一生独身でいること”を選択した、ひとりの男がいた。
これは、女と生きることを諦めた橘 泰平(35)の物語だ。
◆これまでのあらすじ
泰平は、同じ代々木上原に住む灯(あかり)から積極的に誘われ、二人で食事をする。
初めは奔放な彼女に苦手意識を持っていた泰平だったが、だんだんと一緒にいるときの気軽さに気づく。そうして少しずつ、灯に惹かれ始めていることを自覚するのだった。
▶前回:「気になる女が、他の男ともデートしていて…」何気なく探りを入れた瞬間、女が見せたまさかの反応
石津 灯「こんな人、そうそういない」
「汐留までお願いします」
私はタクシーに乗り込み、アンティークジュエリーがたくさん入った紙袋を脇に置いた。今日は、夏用カタログの撮影日なのだ。
4年前に始めたショップの経営は、すこぶる好調。ありがたいことに、とても忙しい。…それなのに。ふとした瞬間、気づくと泰平さんのこと......
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幸せになってほしい