2021.03.19
SPECIAL TALK Vol.78雑草抜きから野菜収穫へ。人とのつながりが道を決めた
金丸:今のところ、まだ農業との接点がありません(笑)。どうやって農業分野での起業にたどり着いたのですか?
菱木:実は最初から農業と決めていたわけではなく、まずAIを使って何かできることはないかを探していたんです。ITジャーナリストの湯川鶴章さんが主宰している勉強会に事務局として携わり、そこで専門家の皆さんの講義を聞くうちに、次に時代の潮流を変えるのは間違いなくAIだ、と確信しました。
金丸:嗅覚が鋭いですね。
菱木:その流れで、アメリカの「ブルー・リバー・テクノロジーズ」という企業を知りました。この企業が開発したトラクターは機械学習エンジンを搭載していて、トラクターの後ろについているカメラで、生育途中のレタスの状況を認識し、密集している所があればレタスを間引くという作業をしていました。その技術を見て、「これが普及したら、きっと大勢のレタス農家さんが助かる」と感じました。鎌倉野菜を生産している友人にその話をしたところ、「いや、菱木さん。レタスの間引きじゃなくて、うちの雑草をなんとかしてくれない?」と言われて。
金丸:レタスより雑草(笑)。確かに農業は雑草との闘いですからね。
菱木:当時の僕は、雑草を取るのがどれだけ大変なのかよく分からなかったので、実際に友人の畑に行って雑草を取ってみました。それがめちゃくちゃ大変で。AIなら野菜と雑草を見分けることもできるだろうと、本格的にAIの勉強を始めました。
金丸:なんだか要所要所で、お友達に助けてもらっていますね。それも菱木さんの「何かやりたい」とか「みんなで一丸となって取り組みたい」という気持ちがあってこそでしょう。それで、雑草を相手にするつもりだったのが、収穫の方向へ行ったのはなぜですか?
菱木:これもたまたまです。アスパラガスの農家の方と出会い、雑草を取り除くロボットを造りたいという話をしたら、「雑草を抜けるなら、アスパラガスの収穫もできるんじゃないですか?」と。
金丸:いろいろな人と会話するなかで、レタスから雑草、雑草からアスパラガスへとつながっていったんですね。
菱木:アスパラガスの収穫もどうするかなんて全然知らなかったので、実際に畑に足を運びました。すると、これもまた大変で。しかも、雑草を取る作業はだいたい数ヶ月に一度くらいですが、アスパラガスはシーズン中、ほとんど毎日収穫しないといけない。
金丸:アスパラガスのシーズンって、年間でどのくらいの期間なのでしょうか?
菱木:地域によって差はありますが、最もシーズンが長い佐賀県の場合、8ヶ月ほどです。
金丸:8ヶ月ですか。その間、毎日しゃがんで手作業で収穫するって、重労働ですね。ところで、農業の現場に入ってみていかがですか? 壁にぶつかることもあるだろうし、理不尽な規制に頭を悩ますことも多いのではないかと。
菱木:おっしゃるとおりです。地域によって規格が定められていますが、例えばアスパラガスは出荷する際に長さは27センチと決まっていれば、30センチの立派なものも、27センチに切らなければなりません。それを農協の選果場に持っていくと、さらに25センチに切りそろえられてしまうんです。
金丸:それじゃあ、2センチ分、まったく無駄になるじゃないですか。
菱木:しかも切った部分は、ゴミとして農家さんが持って帰らないといけません。アスパラガスの単価は、1キロ当たり1,000円くらいなので、カットしたものが1日で7キロ出れば、毎日7,000円を捨てているのと同じです。
金丸:人間だってみんな身長が違うし、バラバラなのが当たり前なのに。農作物は1970年代の初めにこうした規格が決められました。出荷の簡素化や流通の合理化を図るためですが、その結果、今では規格外のほとんどの野菜が店頭に並ぶことなく廃棄処分され、大きな問題になっています。それでもこのようなルールが本当に妥当かどうかを問題提起する人は、ほとんどいません。
菱木:ほぼ半世紀前に決められたルールが、そのまま残っているんですよね。アスパラガスが何センチだろうと味は変わらないし、20センチのものが欲しい消費者だっていると思います。昔は無理だったかもしれないけど、それこそ機械化、自動化で合理化を図れば、無理に規格をそろえなくても、欲しい人のところに野菜を届けることは可能なはずです。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2025.03.21
Vol.126
~「できない」「分からない」の楽しさを伝えたい。万博プロデューサーとして想いを「クラゲ」に込める~
2025.02.21
Vol.125
~卒業して気付いた「まだまだ何でもできる」。元アイドルの肩書に縛られず、自由に挑戦を続けたい~
2025.01.21
Vol.124
~丹後を日本のサン・セバスティアンに。地方の「お酢屋」がまちづくりを考える~
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
おすすめ記事
2021.02.20
SPECIAL TALK Vol.77
~自分の目で現地の状況を見て、伝える。興味の赴くまま、自分にできることを見つけてきた~
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2015.01.22
絶対に負けられない接待が、今宵はある
受注後の社長会食。『旬房』の個室で堅い握手
2023.11.28
恵比寿で“仕事のサシ飲み”にぴったりの店5選!美食と美酒に会話が弾み、関係が深まる
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2016.10.17
彼が言うなら間違いない!松岡修造が伝授する“デキる人”になるための10ケ条
2016.02.01
中国ビジネス関係者必携!日本で唯一の中国歳事が全網羅のカレンダー登場
2018.09.01
¥100でハイボールと唐揚げ、泡飲み放題¥5,500!お洒落なのに低コストな「新・飲み会の聖地」はココ!
2023.08.02
ハラスメント探偵~解決編~
「あんた、バカじゃないの!」思わず新入社員の腕を掴み、怒鳴ってしまった!これってパワハラ?
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…