私たち、出逢わなければよかった Vol.1

私たち、出逢わなければよかった:婚約し、幸せの絶頂にいたはずなのに…。人生が狂い始めた出会いとは

かつて好きだった彼との再会。その思いが再燃してしまった時、人は恋心を抑えることができるのだろうか。

堰を切ったように溢れ出す感情。恋人も家族も敵にまわして貫く恋。

「ねえ。私たち、出逢わなければよかった…?」

安定した未来を捨ててまで燃え上がってしまった、恋の行方とは。


「信也さん、今後ともよろしくお願いしますね」

祐天寺にある実家で母の言葉を聞きながら、菜々子は幸せを噛みしめた。隣に座っている父も、嬉しそうに目を細めている。

今日は婚約者の信也と共に“結婚のご挨拶”に来ていた。

「状況が落ち着いたら、両家の顔合わせもしたいと思っていますので。その際はよろしくお願いします」

礼儀正しく、円滑に会話を進めていく信也を頼もしく思う。

先日、彼の両親にも会った。名古屋から上京したタイミングで食事を共にしたのだが、とても気に入ってくれたようで「菜々子さんがお嫁さんに来るのが待ち遠しい」と言ってくれたのだ。

信也の母親とはその時にLINEを交換して、ちょこちょこ連絡を取り合っている。

結婚は、本人同士だけでなく、両家がつながるもの。

だから、こうして互いの家族から祝福されることが何よりも嬉しいし、両親から反対されるような結婚など、きっと上手くいかない。この時の菜々子は、そう思っていた。

…これから、運命を狂わせる出会いがあるとも知らずに。

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