かつて好きだった彼との再会。その思いが再燃してしまった時、人は恋心を抑えることができるのだろうか。
堰を切ったように溢れ出す感情。恋人も家族も敵にまわして貫く恋。
「ねえ。私たち、出逢わなければよかった…?」
安定した未来を捨ててまで燃え上がってしまった、恋の行方とは。
「信也さん、今後ともよろしくお願いしますね」
祐天寺にある実家で母の言葉を聞きながら、菜々子は幸せを噛みしめた。隣に座っている父も、嬉しそうに目を細めている。
今日は婚約者の信也と共に“結婚のご挨拶”に来ていた。
「状況が落ち着いたら、両家の顔合わせもしたいと思っていますので。その際はよろしくお願いします」
礼儀正しく、円滑に会話を進めていく信也を頼もしく思う。
先日、彼の両親にも会った。名古屋から上京したタイミングで食事を共にしたのだが、とても気に入ってくれたようで「菜々子さんがお嫁さんに来るのが待ち遠しい」と言ってくれたのだ。
信也の母親とはその時にLINEを交換して、ちょこちょこ連絡を取り合っている。
結婚は、本人同士だけでなく、両家がつながるもの。
だから、こうして互いの家族から祝福されることが何よりも嬉しいし、両親から反対されるような結婚など、きっと上手くいかない。この時の菜々子は、そう思っていた。
…これから、運命を狂わせる出会いがあるとも知らずに。
この記事へのコメント
淡い初恋も運命の再会も全て麻生太郎で脳内再生されてしまってるではないか汗
結婚の”ご挨拶”に来たんだ。
変なの。
報道ガールみたいな爽やかな話読みたいなー