女の幸せは、チヤホヤされること?貢がれること?
いいえ。私の幸せは、そんなんじゃない。欲しいものは自分で勝ち取るの。
「若くたって、女だって、成功できるんだから。私にかまわないで」
これは、銀座の一等地でランジェリーショップを経営する、勝気な女社長の物語。
「行ってくるね、トシさん。今日は遅くなるかも」
シャネル N°19の淡い香りを振りまき、ジミーチュウのハイヒールに細い脚を滑り込ませると、メイコは振り返ってそう言った。
本庄メイコ、29歳。スラリとした抜群のスタイルに、くっきりとした目鼻立ち。銀座では少しだけ有名な、若手女社長だ。
メイコは4年前、25歳という若さで自身のランジェリーブランドを立ち上げた。
店舗を出したのは、銀座の一等地。祖父母が経営していた呉服屋の跡地を譲り受けた形だった。そして30歳を目前に、経営は絶好調だ。
―今日も暑くなりそうだなあ。
メイコはマンションの車寄せに吹く、竹芝の清々しい朝の風にニッコリほほえむ。ちょうど良いタイミングで到着した送迎車に乗り込むと、せわしなく取引先に電話をかけ始めた。
スマートフォンから鳴る呼び出し音を聞きながら、メイコは左の人差し指で輝くブシュロンのリングをうっとりと見つめる。
―ああ、すっごくキレイだわ。
今日も、メイコの身の回りはお気に入りの逸品で溢れている。
首元で揺れるミキモトのネックレス。そして膝に乗っているセリーヌのバッグ。
かけがえのない宝物だらけだ。
この記事へのコメント
かわないでちゃんのがしっくり
誰がどう見たっておねだりしてるとしか思えない。