知りたくないのに、知りたい。
恋人と過ごす幸せな毎日に、突然あらわれた忌まわしい存在。
愛する恋人の過去を自分よりも知っている、妬ましい人。
「気にしなければいいクセに、どうしても気になる…」
これは“元恋人の影”に鬱々とする、男女の物語。
「彼氏の元カノ」一挙に全話おさらい!
第1話:「それ、誰の名前…?」付き合いたての彼氏に元カノの名前で呼ばれた女が、取った行動
「私も今の夫と出会ったのが26の頃だったから、ちょうど今の麻衣と同じよね。山内くん、まだ28歳なのにディレクターとしてすごく優秀だし、背も高くてかっこいいし、良いお付き合いになるといいね」
「レナさん、ありがとうございます!…でも私、ひとつだけ気になってることがあって」
「なに?どうしたの?」
麻衣はキーボードを打っていた手を止め、レナをジッと見つめる。
「山内さんと昨日の夜、デートしたんですけど。そのときにちょっとした事件が起きたんです…」
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第2話:「洗面所を借りたせいで…」おうちデートの最中、彼氏の部屋で見てしまったモノ
投稿日は、去年のクリスマス。六本木ヒルズのイルミネーションを写した写真だ。何の変哲もないその写真だが、画面の左端に少しだけ、京太郎が見切れているものを見つけてしまった。
―なに、これ。絶対クリスマスデートのときの写真だよね?
梨子の名前を検索した瞬間から探していたはずの、京太郎と梨子が付き合っていた頃の投稿なのに、麻衣の心臓の鼓動は早くなる。
―見たいのに、見たくない…。
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第3話:元カノのインスタにアップされた、1枚の“匂わせ写真”。その裏に隠されていたメッセージとは
洗面所に置かれていたクレンジングオイル。食器棚の中にはペアのマグカップ。それを見つけた瞬間から、麻衣の動揺が止まらないのだ。
頭の中では、京太郎と梨子が付き合っていた頃の妄想が繰り返し再生される。
洗面所でメイクを落としている梨子を、優しく呼ぶ京太郎…。実際に目にしたわけではないのに、やけにリアルで鮮明だ。
イヤな妄想を断ち切ろうと、コーヒーのマグカップに口を付ける。そうして一息ついていたその時、落ち込んでいた麻衣に追い討ちをかけるような質問が飛んできたのだ。
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第4話:デート直後から、彼氏と連絡がつかなくなった…。そのとき彼は、何をしていた?
京太郎との仲の良さを暗にアピールするようなストーリーズを投稿したり、プライベート用のLINEにわざわざメッセージを送ったりする関係だと知ってしまった今、麻衣の不安は加速するばかりだ。
そう考えると、いてもたってもいられない。
麻衣はバッグからスマホを取り出し、京太郎に電話をかけた。
しかしスリーコールほど鳴ったところで、なぜかプツリと電話を切られてしまったのだ。
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第5話:「夜遅いけど、来ちゃった…♡」元カノの影に焦る女がしてしまった、ありえない行動
「ちょっと京ちゃん、何してるの?」
京太郎に電話をかけたときに聞こえてきた声。それは間違いなく、梨子のものだった。
―会社で仕事してるって言ってたけど、どうしてそこに元カノもいるの?
不安や悲しみを通り越し、怒りがジリジリと胸の奥から湧き上がってくる。麻衣は腕に着けていたカルティエのタンクソロをちらりと見た。時刻はもう、21時を過ぎている。
―このままずっと夜中まで、元カノと一緒にいるなんてことがあれば…。
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第6話:「スマホを落とした瞬間に…」デート中、カップルの仲が一瞬にして険悪になったワケ
旭とは、大学4年生になったばかりの頃から4年間付き合っていたが、夢だった旭の海外赴任が決まったタイミングで別れることを決めた。期限のない海外赴任だったため、お互いの将来を考えてのことだったのだ。
何か決定的にイヤなところがあって別れたわけではない。だから別れた当初は辛かったが、仕事をしていくうちに少しずつ旭の存在は薄まっていき、気が付けば京太郎のことを好きになっていた。
それに別れて以来、旭とは一度も連絡を取っていない。突然すぎる連絡に麻衣が戸惑っていると、旭がこちらの様子をうかがうように尋ねてきた。
「…ねぇ麻衣、久しぶりに会えないかな?」
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第7話:元カレとデートしていたことがバレた…!焦った女が、瞬時に取った行動
「何が違うの?俺に内緒で、しかも嘘までついて食事に行ってさ。それに、やり直そうとか言われてるじゃん。勘違いされても文句言えないよね?」
カチンと来た。勘違いさせるような行動をしているのは、京太郎も同じではないか。どうして自分だけがこんな責められ方をしなければならないのだろう。
淡々と麻衣を詰めていく京太郎を見ていると、無性に腹が立ってくる。麻衣はついに我慢できなくなって重い口を開いた。
「…じゃん」
「え、何?」
「京太郎だって人のこと言えないじゃん!」
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第8話:「今から2人きりで会えない?」彼女とのデート後、元カノを呼び出した男の本心
梨子への未練。この気持ちが、麻衣へのまっすぐな愛情を邪魔しているのだ。「未練なんかない」と自分自身に言い聞かせようとすればするほど、京太郎の中で梨子の存在が大きくなる。
―麻衣のことはちゃんと好きなはずなのに…。
京太郎はもう一度ため息をつくと、意を決してスマホを取り出し、梨子にLINEを送った。
「ちょっと、2人きりで会えないかな?」
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第9話:「今すぐ会いたいの…」彼氏と喧嘩した女が、元カレをホテルラウンジに呼び出した理由
「今すぐ会いたい、とか麻衣の方から言うなんて珍しいから、どうしたのかと思ったよ。何かあったの?」
旭は全てを見透かしたような目で麻衣を見つめる。これ以上目を合わせていたら吸い込まれてしまいそうなほど強い、旭のまなざし。
―この目が好きだった。だけど、たまにちょっと怖いと思ってたな。
「うん、この前の返事がしたくて」
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