美女の憂鬱 Vol.1

美女の憂鬱:「どうせ、私の顔にしか興味ないんでしょ?」絶世の美女が抱える、ひそかな悩み

街を歩けば思わず振り返ってしまう。だけど目が合えば、逸らしてしまいたくなる。

誰もが羨望の眼差しを向ける、美しい人。…しかし、美女には美女にしかない悩みがあるのだ。

「人生の勝ち組」だと囁かれ続け、早29年の奈津子もそのひとり。

―誰も本当の私なんて知ろうともしない。

これは、そんな美女と美女に恋した二人の男の物語。  


「え…?三条さんのどこが好きか、って?」

表参道の『東京十月』で食事をした帰り道、同期の早川から告白を受けた三条奈津子は、あからさまに目を泳がせる早川の顔をジッと見つめていた。

「そう。私のどこを好きになって告白してくれたの?」

「そ、そうだな…。三条さんは営業成績もトップクラスだし、あとは…なんといっても美人さんだから、かな。三条さんの顔、すごくタイプなんだ」

少しでも、一瞬でも、期待した自分が馬鹿だった。

―結局、顔だ。みんな私の顔が好き。

「…私は早川くんの顔、タイプじゃないから付き合えない」

奈津子がそう切り捨てた直後、早川の顔が引きつったのがわかった。

「そ、そうか。急に変なこと言ってごめん。じゃあ、また」

早川は少し怒ったように、その場を足早に去って行く。

―「顔が好き」って告白されたから「顔が好きじゃない」ってお断りして、どうしてあんな嫌な顔されなきゃいけないの?あれじゃ、まるで私が悪いみたい。

奈津子は泣きたい気持ちになりながら、タクシーを拾った。

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