呪われた家 Vol.4

「しばらく距離を置こう…」結婚前に男から受けた悲劇の提案に、絶望する26歳女

―結婚―

それは、愛し合う男女が二人で新しい家庭を築くこと。

だがその儚い幻想が、見事に打ち砕かれたら…?

女は生まれ育った家を、それまでの人生を捨て、嫁ぎ先に全てを捧げる。結婚と同時に“家”という呪縛が待ち受けているのだ。

奇妙な風習、監視の目、しきたり、そして義家族たちの薄笑い…。

夜な夜な響くその声は、幸せでいっぱいだったはずの新妻の心を蝕んでゆく。

―逃ゲヨウトシテモ無駄ダ…

看護師の岡林沙織(26)は、恋人の清川宗次郎(28)からプロポーズを受け、1年の交際を経ていよいよ結婚することが決まった。

だが姑からの婚礼衣装は姑の物を引き継ぐこと夫の帰宅は毎日玄関で出迎えること、また第一子は男児であることなど、さまざまなしきたりに苦しめられるのだった。


―一刻も早く、宗次郎と会って話さなきゃ…。

「男児を生むために“月のもの”の周期を教えて欲しい」

沙織は義母の発言に恐怖を感じ、思わずその場から逃げ出してしまった。

できれば同居は避けたい。宗次郎に会って、そう伝えようと考えていたのだった。



宗次郎との出会いは1年半前に遡る。

小児科病棟での仕事に全力を注いでいた沙織は、恋愛とは無縁の日々を送っていた。ましてや当時は20代前半だったこともあり、結婚など遠い未来の話だと思っていた。

そんなとき、人数合わせで参加した“食事会”で、同じく人数合わせで来ていた宗次郎と出会った。

―不思議な人。

それが、彼の第一印象だった。

その場に居合わせたのは宗次郎の中高一貫の男子校時代の同級生で、みんな一様にエリートかつ、華やかな経歴の持ち主。外銀や代理店、IT企業などに勤めるメンバーの中で、大学の美術学部で研究員をしているという宗次郎は明らかに異色であった。

それでも、この場に呼ばれるくらい友人たちから慕われている“愛されキャラ”の宗次郎がとても魅力的に見えた。穏やかな喋り方、照れ笑い、上品な身のこなし。

そう。つまり、沙織の一目惚れでこの恋は始まった。

だがあの日から1年半の今日、久しぶりに会った宗次郎が、こんなことを言い出すなんて予想だにしていなかった。

「…これからどうするか、今の、沙織の正直な気持ちを聞かせてくれないか?」

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