2019.05.22
姉妹格差 Vol.10「美人で優秀な姉と、できの悪い妹」
幼いときから、2人はこう言われてきた。
妹の若葉(わかば)と、姉の桜(さくら)は3歳差の姉妹。27歳と30歳になった今、その差は広がるばかりだ。
美貌、学歴、キャリア、金、男…全てを手に入れた姉と、無職で独身の妹。
人生に行き詰まった妹は、幸せを掴むことができるのかー?
「姉妹格差」一挙に全話おさらい!
第1話:男も金も手に入れた超絶美女の姉と、虐げられてきた妹。27歳の女が、結婚式で受けた屈辱
ここはザ・リッツカールトン東京のチャペル。今日は姉の結婚式だ。その招待客の全員が、恍惚の表情で姉を見つめていた。
母にいたっては、ハンカチを涙で濡らしながら「綺麗だわ…」とうわ言のように呟いている。
-私の時は、こんな風に泣かないんだろうな…。
母を見ながら、思わずそっとため息をついた。だが、みんなが姉の虜になるのも無理はない。3つ歳上の姉は今日で30歳になるが、その見た目からはどうみても20代にしか見えない。それに誰もが振り返る、奇跡の美貌の持ち主だった。
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第2話:「あちら側の人間になりたい…」美人なエリート姉に罵られた、27歳女。逆転のために決意したこととは
「若葉、どうした?元気ないな。やっぱり、明日のことか…?」
佳樹がナイフとフォークを動かす手を止めて、私の顔を覗き込んでくる。咄嗟に笑顔をつくって「…ううん」と誤魔化すも、図星だった。
ここは『bills 銀座』。恋人の佳樹と有楽町で映画を見た帰り、彼の提案でパンケーキを食べに来たのだ。けれど大好きなふわふわのリコッタパンケーキを前にしても、気を抜くと、ついぼんやりしてしまう。
それもそのはず、なぜなら明日は、運命の分かれ道…司法試験の合格発表日なのだから。
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第3話:27歳にして、ようやく果たした社会人デビュー。彼氏持ちの女を惑わせる、イケメン弁護士の正体
社会人1日目。私は担当部門の弁護士たちに挨拶していた。姉とは別部門になったことが、唯一の救いだ。けれど、皆が口をそろえてこう言った。
「お姉さん、神崎桜先生でしょ?凄い方だよね」
神崎桜の妹だと告げると、必ずこう言われる。小学生の頃から、ずっとそう。
心の中でため息をつきながら、弁護士のひとりである滝沢潤(たきざわ・じゅん)に挨拶したとき、彼が放った言葉に、私の心臓がドキリと音を立てた。
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第4話:「あの男には、気をつけて」。ハイスペ男が笑顔の裏に隠した、知られざる過去とは
滝沢の事を目で追うようになってから数日が経つと、いつの間にやら私は、「弁護士」として働く滝沢が眩しくてたまらなくなっていたのだ。
夢を諦めると決めたはずなのに、滝沢を見れば見るほど、「私もあの仕事をしたい」という気持ちが心の奥底で渦巻いてしまう。
-本当に、パラリーガルのままでいいのかな…
日に日に、今の自分に対する疑問が膨らんでくる。そんな私に転機が訪れたのは、それから1週間後のことだった。
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第5話:「どうして、何もかも奪うの?」恋心を抱いた上司と絶好のチャンス。そこに現れた“魔性の女”とは
「若葉…別れたいって、どういうこと…?」
恋人の佳樹に戸惑った口ぶりで尋ねられ、私は彼の顔を直視できず、思わず目を逸らした。
—俺、アメリカに2年間の留学が決まったよ。
彼からそんな報告を受けた日から、すでに1週間が経っている。私は佳樹を呼び出し、何日も考え抜いてようやく行き着いた結論をついに告げたのだ。
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第6話:「必ず振り向かせてみせる」イケメン上司を巡る姉妹バトル。リードする姉に勝つための秘策とは
憧れていた滝沢とようやく2人きりで飲める-そう胸をときめかせたのもつかの間、姉の登場で全てが台無しになってしまった。
滝沢は気を遣って私にも話を振るのだが、それに答えようとする度、姉が巧妙に割り込んで男心をくすぐるトークを展開し、全部持っていくのだ。
しかも、細い体の曲線美を強調するような姿勢で腰掛け、ゆっくりと髪をかきあげながら艶っぽいまなざしで滝沢を見つめるものだから、完全に2人の空間が出来上がっていた。
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第7話:「男は同時進行」と、断言していたはずが...。高慢な美女を負かした意外な存在
“東大に最も近い高級住宅街”という理由だけで父が選んだ、文京区西片。その街の中でも一際大きく、洋館のような邸宅が実家だ。
真っ白な玄関扉を開けると、ノースリーブを着た姉がリビングのソファーで紅茶を飲んでいる姿が見えた。
-あれ…お姉ちゃん、やせた…?
オフィスで会う時はジャケットを着ているので気付かなかったが、肩や腕がスリム、というよりもガリガリにやつれている。そして私が到着したことに気付いた姉がこちらに視線を向けた瞬間、あまりの変貌ぶりに言葉を失ってしまった。
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第8話:「私…、愛されてたの?」27年間、劣等感に苦しんでいた女が知った衝撃の真実
今日の姉は、以前よりもさらに痩せて痛々しくなっている。いつもなら驚いて理由を訊くところだが、あの事実を知ってからは、何でもないフリをしてしまう。
すると姉がおもむろに、”Diary”と書かれた日記を2冊、手渡してきた。表紙には1992だとか1995と書かれており、かなり年季が入っている。
これは一体、誰の日記だろう…そう思っていると、姉が淡々とした口調で言った。
「これ、お母さんの日記。読んでみて」
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第9話:「悲劇のヒロインぶるのは、やめなさい」。夫に裏切られた女が、伝えたかった事とは
母の日記を読んだのは、小学校2年生のとき。
本棚の奥に置いてあるのを見つけて、開いたときの衝撃といったら…呼吸が浅くなって、無意識のうちに体が震えだしたのだ。
どのページを見ても、“桜は我が侭ばかり” “若葉が可愛い” って書いてある。悲しくて悔しくて、何日も眠れなくなって、両親の愛情を自分に向けるためにはどうしたらいいのかを必死に考えた。
“絶対に親に認めてもらおう、そのためには勉強しかない”って。
第9話の続きはこちら
【姉妹格差】の記事一覧
2019.05.23
Vol.11
両親に支配され劣等感に苦しんだ女が見つけた、「自分らしく生きる」ための方法
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