姉妹格差 Vol.6

「必ず振り向かせてみせる」イケメン上司を巡る姉妹バトル。リードする姉に勝つための秘策とは

「美人で優秀な姉と、できの悪い妹」

幼いときから、2人はこう言われてきた。

妹の若葉(わかば)と、姉の桜(さくら)は3歳差の姉妹。27歳と30歳になった今、その差は広がるばかりだ。

美貌、学歴、キャリア、金、男…全てを手に入れた姉と、無職で独身の妹。

人生に行き詰まった妹は、幸せを掴むことができるのかー?

エリート夫と結婚した姉の桜は、超美人な上に高学歴で、しかも弁護士。そんな姉に対し、妹・若葉は、劣等感に苦しめられていた。

若葉は2度目の司法試験に臨むも不合格。パラリーガルとして姉の事務所に就職しイケメン上司、滝沢に恋心を抱くが、彼はなんと過去に姉とデートする仲だった。


-なにこの展開…!私、単なる添え物じゃない…!

憧れていた滝沢とようやく2人きりで飲める-そう胸をときめかせたのもつかの間、姉の登場で全てが台無しになってしまった。

滝沢は気を遣って私にも話を振るのだが、それに答えようとする度、姉が巧妙に割り込んで男心をくすぐるトークを展開し、全部持っていくのだ。

しかも、細い体の曲線美を強調するような姿勢で腰掛け、ゆっくりと髪をかきあげながら艶っぽいまなざしで滝沢を見つめるものだから、完全に2人の空間が出来上がっていた。

諦めて日本酒をグイと飲んでいると、姉が席を立った隙に、滝沢が申し訳なさそうな顔で訊いてくる。

「ごめんね。僕なんかと2人で飲むより、お姉さんがいたほうが安心かと思ったんだけど…2人のほうがよかったかな?」

-もしかして…まだチャンスはある?

今日は消化試合だと諦めていたけれど、答え方によってはまた2人きりで飲めるかもしれない。咄嗟に私は潤んだ瞳で滝沢を見つめ、姉が言いそうなセリフを口にした。

「もちろん3人で飲むのも楽しいですよ。でも…、今度は二人で飲みに行きませんか?」

すると、意外にも滝沢は私の質問に「もちろん」と答えてくれたのだ。

「じゃあ、次はワインなんてどうかな。この近くに良い店があるんだ」

-やった!なんとか次の約束ができた…!

ほんの少し姉の口調を真似ただけなのに、効果は抜群だった。

しかし、次の約束を取り付けたからと言って、姉への苛立ちが消えたわけではない。会計を終え滝沢と店の前で別れると、強引に姉のタクシーに乗り込んだ。

「お姉ちゃん、滝沢先生とデートしてたって本当?なんで教えてくれなかったのよ?」

すると姉の顔から”よそ行き”の笑顔は消え去り、気怠そうに口を開く。

「言ったじゃない、気をつけなさいって。昔滝沢先生から、よく食事に誘われていたのよ。さっきのバーもそうだし、有名どころだと、銀座の『ロオジエ』とか六本木の『鮨 さいとう』とか…」

いつか行ってみたいと思っていた高級店の名前が、姉の口から次々と飛び出す。そんなお店に2人で行っていたなんて、滝沢は相当姉に夢中だったということではないか。

ショックで黙り込んでいると、姉が意味ありげな笑みを浮かべた。

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