2019.03.30
レストランとパウダールームのいい関係。 Vol.4日本が誇る名店には、歴史の深みを感じる空間美がある
『アピシウス』
東京の政治経済や文化の中心として発展し続ける丸の内。目と鼻の先には皇居が鎮座するこの地には、ほかのエリアとは異なる独特の品格が漂う。その一角に、日本屈指のグランメゾン『アピシウス』はある。
■実直に料理のクオリティとサービスを求めてきた
1983年のオープン以来36年間、日本のフランス料理界を牽引するレストランとして君臨してきた同店。
ビルの地階へと続く専用の階段を下りて行くところから、『アピシウス』の伝統と格式を体感する物語が始まる。
内装デザインはアールヌーボー建築がモチーフ。重厚でモダンな玄関は床石の模様までもが美しい。
ダイニングに繋がる導線を歩くだけで背筋がしゃんと伸びるような心地よい緊張が走る。
高鳴る胸をおさえつつアールヌーボー調のダイニングルームにたどり着くと、壁を彩るさらなる美術品の数々に圧倒される。
マルク・シャガールをはじめ、アンドリュー・ワイエス、ベルナール・ビュッフェ、モーリス・ユトリロ、ポール・ギヤマンなど、これらは全て原画というから驚きだ。
メインダイニングを見ていくと、正面奥中央と両サイド中央の意匠壁は、ベルサイユ宮殿や伝統建築の修復に携わるパリ郊外の工房によって特別に製作されたもの。
この空間演出は、「本物のアートに囲まれた特別な空間で料理を提供することが、おもてなし」との考えゆえ。五感すべてを満たしてこそ、アピシウスの提案するサービスが表現できるのだ。
■シンプルで美しい料理が心を揺さぶる
ディナーは「ムニュ・クラシック」(¥14,040)、「ムニュ・トラディショネル」(¥20,520)、「ムニュ・プレスティージュ」(¥28,080)、の3つのコースを用意(こちら、4月5日からの春メニュー)。
アラカルトも楽しめるが、いずれにせよここを訪れたら必ずオーダーしたいのが、通称「海亀のコンソメスープ」。同店の初代シェフが考案した店の代名詞ともいえるスペシャリテだ。
『アピシウス』の「A」が印字された、プラチナの皿がスープの琥珀色の美しさを際立たせる。
先代創業者が母島に釣りをしに足を運ぶようになり、それがきっかけで誕生したのがこちらのスペシャリテだ。見た目の通り、すっと口に馴染むが、濃厚な余韻が印象的。
そして、もうひとつのスペシャリテはステーキでもいただける上質な肉を、成形したひと手間かけた逸品だ。香ばしく焼き上げた表面の食感と、口の中でほろっと崩れるレア状の肉の食感と脂の旨みが絶妙。
『クラシックなフランス料理が軸ではあるが、そこに固執せず、時代背景を捉えながら進化した料理も岩元氏は提案する。
初代料理長の高橋徳男氏が築いた「伝統」と岩元氏が挑戦する「革新」の絶妙なバランス感が、長年の常連客を掴んで離さないのはもちろんのこと、新たな客層にもつながっているという。
■個室、パウダールーム。すべてが考え尽くされた空間
レストランの品格は、そのまま個室やパウダールームにも踏襲されている。個室は全4部屋を完備。ビジネスマンの会食が多い同店だけに、予約は個室から埋まるという。
そして、パウダールームは男女ともに広くゆったりとスペースがある。男性は木目調の黒い扉と黒い大理石の床をしつらえている。
格式高いグランメゾンを支えるのが、「TOTO製ウォシュレット(一体形便器)」の存在だ。男女でシンメトリーにデザインしているところも、アートに造詣の深い同店ならではのセンス光る演出だ。
以前あった段差をなだらかなスロープにして、車椅子でも利用できるバリアフリー設計するなど、幅広い客層への配慮も行き届いている。
以上、日本を代表するフレンチを紐解いてきたが、エレガンスと歴史を感じる空間がここにはある。
料理、サービス、空間。どれも想像を超えるものだからこそ、“ここぞという時のディナー”や、“特別なおもてなし”に重宝されているのだろう。
これらの要素を締めくくるのが、メートル・ドテル(給仕長)による接客だ。
自身の担当のお客様や常連様が来店するとなれば、フレキシブルに勤務交代をしてでも対応するという。それがまた信頼を強くさせる所以なのだろう。
名だたるVIPたちの愛した世界を垣間見ることで、『アピシウス』の品格を自分も纏ったような感覚を体験できるはずだ。
この記事で紹介したお店
アピシウス
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