2018.10.20
SPECIAL TALK Vol.49DNAにロマンを感じ、嫌いだった生物を学びなおす
冨田:ヒトという知的システムの最初は1個の細胞なのです。1個の受精卵が細胞分裂を繰り返し、細胞同士が何らかの情報交換をして、それぞれ役割分担を決めながら約37兆個の細胞になり、一人の人間を形成する。細胞分裂を繰り返すだけで半自動的に出来あがるのです。
金丸:改めて考えると、すごいことですね。
冨田:その設計図は、最初の受精卵のDNAに描かれた30億文字にあるわけです。その意味を解析するには、コンピュータが必須です。私はここにこそ、自分の出番があるんじゃないかと考えました。だから嫌いだった生物学を、もう一度勉強しようと思ったんです。
金丸:どのように勉強したのですか?
冨田:アメリカの大学には、教員がほかの学部の授業を履修できる制度があります。それを利用して、“Introduction to Modern Biology”という1年生向けの授業を受けてみたら、すごく面白かった。その先生の言葉で印象的だったのが、「生物学者には2通りある。『生物とは多様で複雑で例外だらけだ』と考えるか、あるいは『生物とは多様で複雑で例外だらけのように見えるが、基本的なところはみんな同じだ』と考えるかだ」と。
金丸:なるほど。相違点か、共通点か。
冨田:様々な生物の共通点といえば、なんといってもDNAです。その先生は「この共通の部分にこそ、生命の生命たる本質が隠されている」と。しびれました。
金丸:そもそも冨田さんは、なぜ生物が嫌いだったのですか?
冨田:暗記科目だったからです。「アブラナのおしべは何本か」なんて、本当に知りたかったら図鑑を見ればいい。覚える意味もテストに出す意味もない。わからないことを知ろうとするから面白いのであって、「わかっていること」だけを教えるなんて、つまらないじゃないですか。
金丸:たしかに、授業が面白くなるわけがありません。
冨田:アメリカで生物の授業を受けて、生物にはわからない謎がたくさんあることを知りました。だからロマンがあって面白いのです。「まだわかっていないことを、自分が解き明かしたい」という気持ち。自分から興味を持って勉強するには、ロマンが欠かせないと思います。
金丸:日本の学校教育を考えさせられるお話です。2020年から小学校でプログラミング教育が始まりますが、「プログラミングを教えるのではない。プログラミング的な思考を身につけさせるんだ」というのが文科省の基本的な考えなんです。
冨田:実際にプログラミングをさせないなんて、どれだけの子どもが興味を持ってくれるのか疑問ですね。
金丸:そうですよね。たとえばテニスだって、下手でも一度やってみて面白かったら、「もっとうまくなりたい」と進んで練習します。「最初は素振りしかさせない」という方針では、モチベーションが湧きません。でも日本では、至るところで似たようなことが起きています。球拾い、靴磨き、先輩のユニフォームの洗濯。そんな遠回りをしていたら、自己研鑽の時間が失われてしまう。人生、もっともっとスピーディーに、様々な挑戦を、繰り返していくべきなのに。
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