セカンドの逆襲 Vol.15

「彼って、こんなに薄っぺらい男だった…?」セカンド女が、浮気男への盲目愛から目覚めた瞬間

拓斗の目論見


「香織は、最近はどうしてるの?この前会ったときは、起業したって言ってたけど…」

勿論、彼女の起業についても聞いてあげた。別にそれほど興味があった訳ではないが、女は自分のことを聞いて欲しがるだろう?

ただ、僕は雑誌を見たことは言わなかった。言えば、変に勘ぐられて面倒だからだ。

「うん…今も続けてるよ。最近は、何とか軌道に乗り始めたところかな」


僕の質問に対して、彼女は飲んでいたグラスの縁をゆっくりと指でなぞりながら答えた。

やはり、起業の成功が彼女に自信を持たせ、魅力的に映るのだろうか?仕草も何だか妙に色っぽい。

僕がその綺麗な指先に目を奪われていると、香織は急に僕の方を見てフッと潤んだ目で微笑んだ。

意味ありげな彼女の表情。お互いの意思疎通が取れた瞬間だと確信する。

「…香織さ、今付き合ってる人とかいないの?」

「そうね…今は忙しくて特にいないけど…」

「あのさ、香織。俺たちもう一度、やり直さないか?俺、香織と別れてからずっと後悔してたんだ…。今度こそ、本気だから」

僕は目一杯真剣な顔を見せた。彼女の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

香織の心情


久しぶりに会う元彼。自分をセカンドとして扱っていた最低二股男。

あれだけ大好きだったのに、今は裏切られたという憎しみと、それでも残る過去の愛情が絡み合って、複雑な感情が渦巻く。

ただ、彼と再会することで、また自分の心が揺れてしまったらどうしようと、少し怖くもあった。なのに…。

ー何だろう…?拓斗自身はそれほど変わっていないと思うんだけど…。何だか色褪せて見える…。

違和感を覚えながらも話すうちに、あることに気がついた。

ー拓斗って、こんなに自分語りする人だったっけ…?

拓斗の話のほとんどが自分の自慢だったり、会社やクライアントの愚痴だったりと、自分のことばかりなのだ。

昔は彼のことを本気で凄いと尊敬していたし、どこか崇拝している部分があったように思う。

だから、彼の話すことや行動の全てを、素敵だ、と思い込んでいた。

しかし今、冷静な目で拓斗を見てみると、何だかどこか薄っぺらく、人としての深みを感じられない。

勿論、私よりも学歴がよく、仕事も出来るのだろう。それでも、人間的に尊敬できるかはまた別の話だと、深く実感したのだ。

ー人って、スペックじゃなかったんだな…。

今までは自分に自信がなかったから、分かりやすいスペックを持った人と付き合うことで、自尊心を満たそうとしていた。

だが、前よりも少し自分自身を認められるようになった今は、もうスペックに惑わされたりはしない。

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