恋と友情のあいだで 〜里奈 Ver.〜 Vol.14

「夫と、子作りしてるんです」愛する男の妻からの脅迫。苦悩の末、女が固めた決意とは

―あの頃の二人を、君はまだ覚えてる...?

誰もが羨む生活、裕福な恋人。不満なんて何もない。

でもー。

幸せに生きてるはずなのに、私の心の奥には、青春時代を共に過ごした同級生・廉が常に眠っていた。

人ごみに流され、都会に染まりながらも、力強く、そして少し不器用に人生を歩む美貌の女・里奈。

運命の悪戯が、二人の人生を交差させる。これは、女サイドを描いたストーリー。

7つ年上の直哉との結婚した里奈は裕福な専業主婦生活を満喫するものの、サークルの同窓会で再会した廉と結ばれてしまう

二人の関係は直哉に勘づかれ、さらに廉の妻・美月からも電話がかかってきた


「私、一条美月、と申します」

その名前を聞いた瞬間、背筋に戦慄が走った。

自宅の固定電話を鳴らしたのは、廉の妻・美月だったのだ。

「ご無沙汰しております。以前は私たちの結婚式に出席して頂き、ありがとうございました。あの...私がご連絡差し上げた理由は、お分かりですよね」

美月は相変わらず柔らかな声で言うが、その裏には明らかに憎しみが滲んでおり、受話器越しに緊張感がピリピリと張り詰めていく。

「......」

驚きと動揺のあまり、私は声を発することができない。

しかも書斎では、仕事で問題を抱えた夫が珍しく弱っている。ここで下手な発言をし、美月を刺激して修羅場になってしまうのだけは避けたかった。

しかし混乱した頭では、最善の対処法など分かるわけもない。

「あなたはご自分の立場を、わかってます?」

美月の口調はまるで談笑でもするような穏やかさで、それがかえって私の恐怖心を煽る。

そして私がなおも返事ができずにいると、彼女は受話器越しにクスクスと小さな笑い声を立て、楽しそうに言った。

「...可哀想な里奈さん」

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