恋と友情のあいだで 〜里奈 Ver.〜 Vol.8

「共犯意識」で結ばれていく既婚の男女。嫉妬に狂った人妻が、禁断の域に踏み込んだ夜

―あの頃の二人を、君はまだ覚えてる...?

誰もが羨む生活、裕福な恋人。不満なんて何もない。

でもー。

幸せに生きてるはずなのに、私の心の奥には、青春時代を共に過ごした同級生・廉が常に眠っていた。

人ごみに流され、都会に染まりながらも、力強く、そして少し不器用に人生を歩む美貌の女・里奈。

運命の悪戯が、二人の人生を交差させる。これは、女サイドを描いたストーリー。

派手な女子大生生活の後、総合商社での理不尽な社会人生活に疲弊した里奈は、7つ年上の直哉との結婚したが、夫との愛情格差不満を抱いている

そんな中、廉の結婚式に呼ばれた里奈は、彼への友情が少しずつ変化し始める。


廉の結婚式のあと、私たちの連絡頻度はさらに増した。

シンガポールと東京の時差はたったの1時間であるため、私たちは海を越えているとは思えない気軽さでLINEのやり取りをしていた。

「今、帰宅中」

東京の午前0時頃になると、ほぼ毎晩のように廉からメッセージが届く。

そこから30分、長ければ2時間近くもチャットが続くのは、もはや習慣になっていた。しかし内容は、やはり深い意味を成さないものばかりだ。

学生時代の他愛もない思い出や、同期たちの噂話。あるいは、天気の話だけで終わる日すらある。

だが、そんな廉とのやりとりは、仮面夫婦生活に疲弊した私にとって単純に癒しの時間だったのだ。

そして、そんな正体不明の関係に先に踏み込んできたのは、廉の方だった。

「ていうか、毎晩夜中にスマホいじってて、旦那は怒らない?笑」

「大丈夫だよ。お互い、もうそんな関心ないから。むしろ、新婚のそちらは?笑」

すぐに既読がついたのに、テンポよく進んでいたLINEに暫しの間が生じた。

私は正直に答え過ぎたことを一瞬後悔したが、そもそも、これがすべての始まりだったのだ。


「そっか。実は、俺も最近ちょっと微妙。笑」


“笑”という文字を乱発する不自然さが、すべてを物語っていたと思う。

こうして私たちは無意識に、友情から一段発展した「共犯意識」なるものを持ち始めたのだ。

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