恋と友情のあいだで 〜里奈 Ver.〜 Vol.3

女の幸せは、愛されること。左手薬指に光るダイヤを見て感じた“達成感”という名の快感

―あの頃の二人を、君はまだ覚えてる...?

誰もが羨む生活、裕福な恋人。不満なんて何もない。

でもー。

幸せに生きてるはずなのに、私の心の奥には、青春時代を共に過ごした同級生・廉が常に眠っていた。

人ごみに流され、都会に染まりながらも、力強く、そして少し不器用に人生を歩む美貌の女・里奈。

運命の悪戯が、二人の男女の人生を交差させる。これは、女サイドを描いたストーリー。

派手な女子大生生活を送っていた里奈は、総合商社に入社したものの、理不尽な社会人生活に疲弊していた。


―俺の子ども、産んでよー

なんて言葉は、男が女をベッドに誘うための安っぽい文句だと思っていた。

だが、軽い付き合いを続けていた直哉との関係は、思いがけず、その後どんどん密になった。

南麻布にある直哉の部屋の合鍵を渡され、彼の友人にもしょっちゅう紹介された。そして、以前はチラホラ感じていた他の女の影も完全に消えた。

“結婚”という明確な言葉はなかったものの、直哉なりの真剣さで私にコミットしているのはよく伝わってきたし、「絶対に幸せにする」という彼の言葉通り、一人の男にきちんと愛され大切にされるのは確かに“幸せ”な状態と呼べたと思う。

このまま本当に話が進み、直哉のような御曹司の妻となったなら、私の人生はそこである種の完成を遂げる。

そんな風に思うと、まだ24歳の私の胸にも、ちゃっかりと安堵と余裕が広がった。

だが私は、こうして周囲の環境が勝手に整っていくことに胡座をかき、結婚を決めるのに最も重要な“ある感情”が抜けていたことに、気づいていなかったのだ。

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