恋と友情のあいだで 〜里奈 Ver.〜 Vol.9

「夫は、出張なの」背徳感に揺れる男の欲望を解き放った、人妻の誘惑

―あの頃の二人を、君はまだ覚えてる...?

誰もが羨む生活、裕福な恋人。不満なんて何もない。

でもー。

幸せに生きてるはずなのに、私の心の奥には、青春時代を共に過ごした同級生・廉が常に眠っていた。

人ごみに流され、都会に染まりながらも、力強く、そして少し不器用に人生を歩む美貌の女・里奈。

運命の悪戯が、二人の人生を交差させる。これは、女サイドを描いたストーリー。

派手な女子大生生活の後、総合商社での理不尽な社会人生活に疲弊した里奈は、7つ年上の直哉との結婚したが、仮面夫婦に陥ってしまう。

そんな中、里奈は廉の結婚式に呼ばれ、彼への友情が変化し始める。そして、サークルの同窓会で再会したとき、ついに廉を誘ってしまった。


「廉の泊まってるホテルで、二人で飲もうよ」

私が思わずこんなセリフを口にしてしまったのは、「里奈、二次会いく?」と、がお酒で赤く染まった顔を向けたときだった。

無防備な笑顔が困惑に侵されていくのを、私は何かの実験でも観察するように、どこか客観的に眺めていた。

—やっぱり、私たちは“友だち”なんだ。

突然の誘惑に硬直している廉を前に、私は落胆と安堵を同じくらい感じた気がする。

しかし、「冗談だよ」と廉の肩を叩こうとしたとき、彼は私の腕をぐいっと強く引き寄せ、耳元で囁いた。

「渋谷のセルリアンタワー、先行ってて。すぐ行く」

手を離されたとき、廉はすでにいつもの“盛り上げ役”の顔を取り戻し、仲間の輪の中にすんなりと溶け込んでいた。

摑まれた二の腕だけが、いつまでもジンと熱く痛んだ。

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