あなたは、わたしのもの Vol.7

毎晩19:00になるとやってくる、あの女。大きすぎる代償を払っても、逃れられない狂気

女の人の価値は、美しさだけではない。

どれほど純粋に自分を愛してくれるかだ…そんな風に思っていました。

でも、あの女のおかげで僕はやっと気がついたんです。

異常なほどの愛情が、女の人を、そして関わる人間の人生すらを壊してしまうってこと、

純粋な愛情は行き過ぎると執着に変わり、執着は憎しみへと変貌を遂げるってことを…

少し長いけれど、どうか僕の話を、聞いてください―


順風満帆な人生を送る堂島ユウキの目の前に突如現れた、黒髪の美女・ひとみ

出会ったその日に一夜を共にするが、ユウキの女友達へ勝手にメッセージを送るなど、彼女の異常性に気がついたユウキは、ついに別れを決意する。

だが、ひとみはどこまでも追いかけてくるのだった。


今でも目を閉じると、彼女が悲痛な声で叫んだあの日の残像が、くっきりと浮かぶ。

無理やりにでも眠ってしまえば、何か気楽な夢を見ることができる気がするのに、その期待は何度も裏切られる。脳内に浮かんでくるのはあの日のことばかりだ。

あの夜、お姫様を助ける騎士の如く僕を救おうとしてくれた秋吉は、まるで犯罪者のように警備員に取り押さえられた。

ひとみは、全身を震わせながら「あの人に腕を思い切り掴まれたんです」と呟き続けていた。ときおり大粒の涙を流し、僕に抱きつきながら。

ーあぁ、その手なんだよ。騙されちゃいけない。

そう自分に言い聞かせているのに、僕はひとみを押しのけることができない。

彼女はすごく、可哀想に見えるから。

秋吉は自分が取り押さえられたことに憤慨し、威勢良く「この女狂ってるんだよ!」と叫んだ。

いかにも人の良さそうな中年の警備員は秋吉を冷たく一瞥し、店のブランケットをひとみの肩にかけていた。無理もない。

長身で派手な顔つきの秋吉と、華奢で真っ白なまるで少女のようにか弱い女。

警備員として男として、どちらを守るべきかを短絡的に判断したところで、誰も彼を責めることはできない。

でもそうしたら、僕が長年の親友を失った悲しみは、どうやって癒せばいいのだろう。この怒りは誰に、ぶつけたらいいのだろう。

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