あなたは、わたしのもの Vol.1

あなたは、わたしのもの:悪夢の始まりは、黒髪の美女と過ごした一夜。突然狂った、順風満帆な男の人生

女の人の価値は、美しさだけではない。

どれほど純粋に自分を愛してくれるかだ…そんな風に思っていました。

でも、あの女のおかげで僕はやっと気がついたんです。

異常なほどの愛情が、女の人を、そして関わる人間の人生すらを壊してしまうってことを。

純粋な愛情は行き過ぎると執着に変わり、執着は憎しみへと変貌を遂げるってことを…

少し長いけれど、どうか僕の話を、聞いてください―


皆よりも、少しだけ恵まれた僕の人生


LINEのアイコンに表示された、『6』という未読メッセージの数字。

画面をタップして、トーク画面を上から順に確認する。

カチカチカチ…

ーユウキ、今夜空いてる?
ー好きな食べ物はね、お鮨です。今度、ユウキ君一押しのところに連れて行って下さい♡
ー今夜の食事会、男が1人これなくなりました。困っています!至急連絡求む

最後のメッセージの後には、かたい文章にそぐわない懇願するようなスタンプが3つ。

僕は女たちからのLINEを飛ばして、最後に目にとまった、友人の秋吉からのメッセージに最初に返信をすることにした。

ーオッケー、いいよ。今出先だからカジュアルで良ければそのまま向かうわ。どこ開催?

相当切羽詰まっていたのか、すぐさま銀座の店のリンクと、秋吉に似合わぬクマのスタンプが送られてくる。

秋吉は、同じ28歳。早稲田大学時代からの仲だ。

大手商社に勤めており、おまけに父親がスペイン人というハーフ。モデル顔負けのルックスに、身長は180cm越えときたら、女に不自由しないのは誰が見ても納得というところ。

秋吉と比較すると相当の”塩顔”らしい僕は、何故か奴に気に入られていた。

2人で食事会に行けば女の方で秋吉派と僕派に分かれるので、比較的やりやすいコンビだからだろうか?

それとも僕が、父親から受け継いだ不動産管理で得た収入で、同年代の商社マンと同じくらいには自由になる金があったからだろうか?

いや、それよりも何故。

何故この時僕は、一番最初に来ていた女友達からのLINEメッセージに返信しなかったのだろうか?

後から考えたって、なにも分からないし、意味もない。

ただひとつ確かなのは、あの秋吉からのLINEに返信してしまったのが、すべての始まりだったということ。

おかしなことってのは、大体いつも音を立てずにやってくるものだ。

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