あなたは、わたしのもの Vol.1

あなたは、わたしのもの:悪夢の始まりは、黒髪の美女と過ごした一夜。突然狂った、順風満帆な男の人生

あなたのこと、好きになってもいいですか?


「ふふ、ふふっ」

翌日の朝、僕は、聞きなれない女の笑い声で目が覚めた。

自宅に女性を連れてきたのは1度や2度ではないし、付き合っていた彼女がしばらく居着いたこともある。

だが、良く知らない女の笑い声で目覚めたのは初めてだった。

頭がガンガンと痛む。この痛みを感じるたびに、2度と飲みすぎるのはやめようと思うのに…。

僕はやっとの思いで隣にいるひとみに声をかける。

「ごめん、頭痛くて…いろいろなんか、ごめんね、俺とりあえずシャワー入るわ。ひとみちゃん…も、好きにしてて。」

ひとみはにっこりと笑っていた。

熱いシャワーを浴びているうちに、頭がだんだんと覚醒してくる。


次第に記憶が蘇ってきた。

2人で手を繋いで、僕の自宅にやってきたこと。

あの銀座の店でギリギリまで飲んで、2軒目も行かずに2人でタクシーに乗り込んだ。ひとみの白いシャツワンピースに、清楚な雰囲気。艶々の黒髪。彼女が勤めているという企業、そして、年齢…。

全てを思い出して、浴室を出た。

彼女は一晩の関係で終わるには、もったいなさすぎる相手だ。僕はベッドで待っていたひとみに丁重に声をかける。

「ひとみちゃんも、シャワー入る?今日仕事だよね、時間平気かな?あ、お腹空いてる?」

矢継ぎ早に質問する僕のことをじっと見つめたかと思うと、ひとみは、あの大きな目を見開いて、僕のそばにすっと近づいてきた。

「あなたのこと…好きになってもいいですか?」

下着姿をシーツで覆うように隠すひとみに上目遣いに見つめられて、僕は理性を失った。

ひとみを再びベッドに連れてゆき、胸元に、首筋にキスを重ねながらつぶやく。

「僕も好きだ」
「何も心配することないよ」
「こんな可愛い子に会ったのは、初めてだよ…」

この時もまだ、僕は何も気がついていなかった。

だが、彼女と別れてから3時間後。

僕はようやく、ほんのすこしの危機感を抱くことになる。

仕事を終えて、ふと眺めたLINEのアイコンに…

『66』という数字が表示されていたからだ。

66件のうち、62件はひとみからのメッセージだった。


▶NEXT:7月27日 金曜更新予定
ユウキの生活に突然現れたひとみ。彼女は一体何者なのか―?

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

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No Name
背筋の凍るような恐ろしい女の話なんでしょうか?
毎日暑いのでヒヤッとさせてください。
2018/07/20 05:3599+返信4件
No Name
お持ち帰りされちゃうとか、全然清楚じゃない。
2018/07/20 06:1199+返信2件
new
持論やけど、敢えて髪を染めずにいる可愛い子はメンヘラ率がめっちゃ高い
2018/07/20 07:0399+返信10件
もっと見る ( 104 件 )

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