あなたは、わたしのもの Vol.5

それは、悲劇までのカウントダウン。束縛女を安易にLINEブロックした、愚かな男

女の人の価値は、美しさだけではない。

どれほど純粋に自分を愛してくれるかだ…そんな風に思っていました。

でも、あの女のおかげで僕はやっと気がついたんです。

異常なほどの愛情が、女の人を、そして関わる人間の人生すらを壊してしまうってこと、

純粋な愛情は行き過ぎると執着に変わり、執着は憎しみへと変貌を遂げるってことを…

少し長いけれど、どうか僕の話を、聞いてください―

順風満帆な人生を送る堂島ユウキの目の前に突如現れた黒髪の美女・ひとみ

出会ったその日に一夜を共にするが、ユウキの女友達へ勝手に恐ろしいメッセージを送るなど、彼女の異常性に気がついてしまい、ユウキは家を飛び出したのだった。


気がついたら、走っていた。

車のキーや財布すら持たず、反射的に家を飛び出して。

エントランスを出て、ようやくひと呼吸することが出来た。むっとした外の空気に触れているというのに、何故か寒気が止まらない。

僕は確実に動揺していた。

あんなにも愛おしいと思っていた自分の彼女が、女友達に送ったという、メッセージの詳細を知るのが怖い。

その内容を知ってしまったら、もう決してひとみとは元の関係に戻れない気がするからだ。

だがとにかく、雅子には謝らなければならないだろう。通話ボタンをタップし、駅に向かって歩き出す。

トゥルルル…
トゥルルル…

「はい」

「あの、さっきはごめんな。今外に出てきた。メッセージのことだけどさ…」

話しながら、僕はどうかこの件が間違いであって欲しいと願った。さっきのは仲間内の悪い冗談で、ひとみが僕の女友達を脅すようなことをしたとは、信じたくなかった。

だが、いつもの雅子らしくない慎重な声のトーンが、事態がただ事ではないことを告げている。

「いやさ、私もそんな完璧な男とばっか付き合ってきたわけじゃないから偉そうなこと言えないけどね。でもユウキ…あの子、本当に大丈夫なの?」

雅子に「大丈夫か」と問われた瞬間、僕は悪い魔法が解けたようにハッとした。

大丈夫ではない。

ひとみはやはり、どこかがおかしい。

あの女とは、きっぱりと別れなくてはいけないのだー。

【あなたは、わたしのもの】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo