あなたは、わたしのもの Vol.4

SNSで1,000人以上の友達がいる、私の彼氏。怪しい女は徹底的に排除する、束縛女の執念

女の人の価値は、美しさだけではない。

どれほど純粋に自分を愛してくれるかだ…そんな風に思っていました。

でも、あの女のおかげで僕はやっと気がついたんです。

異常なほどの愛情が、女の人を、そして関わる人間の人生すらを壊してしまうってこと、

純粋な愛情は行き過ぎると執着に変わり、執着は憎しみへと変貌を遂げるってことを…

少し長いけれど、どうか僕の話を、聞いてください―

順風満帆な人生を送る堂島ユウキの目の前に突如現れた黒髪の美女・ひとみ。出会ったその日に一夜を共にするが、ユウキの女友達へ勝手にメッセージを送るなど、彼女の異常性に気がついてしまう。


五反田に住む、堂島ユウキくんとお付き合いをするようになって、わたしの毎日は変わった。

仕事を終えると、弾んだ心を抑えながら自宅ではなく五反田駅に立ち寄る。

今まではあまり縁のなかった駅だけど、あの食事会の夜以来、頻繁に訪れるようになった。

もうこれで何回この地に降り立っただろう。

少しずつこの街に馴染んでゆく自分が嬉しかった。

いつものスーパーに寄り、何を作ろうかな、と店を見渡した。正式に”ユウキくんの彼女”になってから、わたしはますます料理に力を入れるようにしている。

何しろ、料理は最高の愛情表現だ。

わたしのお母さんも、常に家族の為に沢山のお料理を作ってくれていた。

仕事の忙しい父が一緒に食卓を囲むことは少なかったけど、お母さんは必ず父の分のテーブルセッティングを欠かさず、お肉もお魚もいつも一番大きいものが父に取り分けられた。

今でも目を閉じれば、父用の、ラップがぴんと張った皿に取り分けられた、色鮮やかな料理の数々を鮮明に思い出すことができる。

たまに早朝に目が覚めて、そのお皿がそのままテーブルの上にあるのを見たときは、なんとも言えない気持ちになった。

私は気を取り直して、もう一度ぐるりとスーパーの店内を見渡した。ツヤツヤとした鶏モモ肉をネギ塩ダレでカリッと焼いてみようか、それとも国産のサーロインステーキ肉を、シンプルにガーリックとお醤油で味付けしてみようか…。

こんな風に食材を吟味していると、幼い頃母と一緒に通ったスーパーでの会話を思い出す。

「ひとみ、男の人はね。胃袋さえつかんでおけば間違い無いんだから」

記憶の中のお母さんが、得意そうに呟いている。

「外のご飯なんで食べさせないで、きちんとした手料理を用意してあげれば、男の人は不思議とあなたから離れられないようになるのよ」

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