恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.9

「妻への罪悪感は、ない」婚外恋愛に溺れた商社マンの、身勝手な欲望と小細工

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

“商社マン”となった一条廉モテを堪能する日々を送った末、3歳年上の美月と結婚。シンガポールで新婚生活をスタートさせる。

一時帰国中、廉は里奈に誘われ2人で食事をする。“友達”を保つふたりだが、しかしこれをきっかけに連絡が密になっていく。

そんな中、大学サークルの10周年パーティーが開催され、廉と里奈は揃って出席する。

そしてついにふたりは会場を抜け出し、ホテルで密会するのだった。


元カノ・結衣が目にしたもの


−…どういうこと?

人目を避けるようにして会場を出て行った廉を、結衣は見逃さなかった。

誰にも声をかけず、まるでお手洗いにでも行くかのような素ぶりではあったが、その横顔には焦りとも興奮ともつかぬ表情が浮かんでいた。

−まさか。

すぐにピンときて、会場を見渡す。…思った通りいない。相沢里奈が、いない。

その瞬間、結衣は思わず大声を出していた。

「ねえ!廉と相沢さんが消えたんだけど!」

まるで言いつけるように叫んだのは、もちろん正義感からだ。

だって廉は、新婚ではないか。こんなことが許されていいわけがない。

結衣も二次会からではあるが結婚式に参加し、廉の妻・美月に「おめでとう!」と声をかけていたという経緯もある。

そして、廉が妻に選んだ女性…美月に、結衣は妙な親近感を感じていたのだ。

3歳年上らしいが、童顔で幼い顔立ち、華奢で小柄なスタイルなどが自分と似ていたからかもしれない。どこだか忘れたが女子大卒で、結婚前は銀行の一般職だったというその経歴もなんというか“普通”で安心感がある。

つまり、結衣は美月が好きなのだ。相沢里奈よりも。

というより、相沢里奈なんて嫌いである。昔から、嫌いだった。

なぜかって?…そんなことは知らない。

女が女を嫌うのに、いつも理由なんかないのだ。

この記事へのコメント

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No Name
結衣、自分で正義感からやったって正当化しようとしてるあたりがあまり好きじゃないかも。
ただ単に、囃し立てた方が面白いからで良くない?笑
2018/08/22 05:2699+返信10件
No Name
結衣だったかー!名前すら忘れてた(笑)
2018/08/22 05:1699+返信6件
No Name
出た、「そんなつもりじゃなかった」。誘ったのはリナで、僕じゃない。ほんっと卑怯未練なクズ男!
2018/08/22 05:3299+返信9件
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