恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.8

「もう、夫とはしたくない…」 友達だった既婚男女が、不適切な関係に陥るまで

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

“商社マン”となった一条廉モテを堪能する日々を送った末、3歳年上の美月と結婚。シンガポールで新婚生活をスタートさせる。

日本への一時帰国中、里奈に誘われ2人で食事へ出かけた廉。その場では“友情”を保ったふたりだが、それをきっかけにして次第に連絡が密となる。

グランドハイアット東京で結婚式を終えた廉は、再びシンガポールへ。しかしなぜか子づくりを急ぐ美月に冷めた思いを抱いてしまう。

そんな中、大学サークルの10周年パーティーが開催されることになった。


「ねぇ。戻り、どうしても日曜になる?」

ベッドルームで荷造りする僕に、美月がそっと、扉の隙間から問いかける。

−またか。

彼女から戻る日を確認されるのは、これでもう3回目。

言い方自体は遠慮がちであるものの、どこか非難が含まれている気がするのは…僕にやましさがあるからだろうか。

木曜日に本社で開催される会議に出席するため、僕は今日、およそ半年ぶりにシンガポールを発ち日本へと向かう。

金曜も東京本社で仕事、夜は接待に駆り出される予定だが、確かに土曜早めに日本を発てばその日のうちにシンガポールに着ける。

だが、僕にはそれができない事情があった。

「ごめんな、美月。ちょうど同期が同じタイミングでロンドンから戻っててさぁ。せっかくだし久しぶりに飲もうぜって話になったから」

意識して穏やかに、僕はすでに何度も伝えた事情を繰り返す。

しかし、この説明は明らかな嘘だ。同期と会う予定などない。

土曜夜の、本当の予定…それは、大学時代にゴルフサークルで出会った仲間たちとの10周年パーティーである。

僕はそれに、里奈と一緒に参加する約束をしていた

…すでにある種の“共犯意識”で結ばれていた僕たちが、このタイミングで会うことの意味に、お互い敢えて気づかぬふりをして。

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