美食の街と言われる東京だが、中でも、オープン以来世界に名を轟かせているお店が青山にある。
控えめな階段を降り、エントランスへ。扉を開ければ、圧巻の空間が貴方を出迎えてくれる。
世界からこの店に人が殺到する理由とは?
日本を代表するレストラン。世界に誇るカウンターはまるで舞台の臨場感
『Florilege』
この店こそ、世界から脚光を浴びているフレンチレストラン『フロリレージュ』だ。
世界の料理評論家やレストラン関係者の投票によってランキングが決まる「アジアのベストレストラン50」では、今年第3位を獲得。
「世界のベストレストラン50」も着実に射程圏内に入りつつあり、日本を代表するレストランとして存在感を示している。
オーナーシェフの川手寛康氏は、国内では『ル・ブルギニオン』『カンテサンス』などでの修業を経て、2009年に自身の店を南青山四丁目にオープン。2015年、現在の場所に移転し、店はスケールアップした。
キッチンと、それをぐるりと囲むカウンター席を遮るものは何もない。「すべて隠さず、バックグラウンドまでお客様に見ていただきたい」という思いからこの形に。
そして、シックなまでにぐっと抑えた照明。スポットライトが、オープンキッチンに並ぶ食材や、それを扱うスタッフの姿を照らし出す。
「記事ではたいていそう書かれる」と川手氏は苦笑するが、それでも〝劇場型〞と表現せずにはいられない雰囲気に満ちている。
店の設計を手がけたデザインオフィス「エスキス」の甲斐晋介氏へのリクエストは「フランスでも日本でもなく〝なに風〞でもない空間にしたい」。
そしてもうひとつ「廃材を活用してほしい」ということ。 もちろん単に使うのではなく、たとえば床は、色合いが微妙に異なる木材をヘリンボーン状に配することで、美しいデザインへと昇華されている。
もちろん、高い美意識は料理にも貫かれる。緻密に構成された食材とソースや繊細な盛り付けは、ひと皿ごとにゲストを魅了。
加えて、さりげなく川手氏のメッセージが込められている点も、世界で高く評価されている大きな理由だ。
スペシャリテである「サスティナビリティー、牛」が、その代表格。
出産を終えた牛は、一般的には味が落ちるといわれているが、そうした食材に目を向けてプロの技術を施すことで、味わいを高めている。
これは、年々数が減ってきている和牛を持続的(=サスティナブル)に扱えるように、と一石を投じるスマートな取り組みなのだ。
圧倒的な存在感を放つ空間で味わう美しい料理を味わいつつ、気高いメッセージを感じ取る。
青山という空気にこそハマる、これぞ世界基準のレストランだ。
Photos/Yoichiro Kikuchi, Text/Haruka Koishihara
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