モテキ参上! Vol.2

人生初の“モテキ”に浮かれるベンチャー経営者。その自信を一瞬でぶち壊した、魔性の女

男ならだれでも一度は夢を見る、“モテキ”。

しかし突然訪れた”モテキ”が、人生を狂わせることもある。それが大人になって初めてなら、なおさら。

茂手木 卓(モテキ タク)、29歳独身。趣味は微生物研究。

ひょんなきっかけからモテ男ジェイと出会い、突然の起業。それと同時に人生初めてのモテを経験することになる。

これまでの人生、「モテることなんて何の価値もない」と思っていた男。しかし一度味わってしまった際限のない欲望からは、簡単には逃れられないのであるー。


「うん、やっぱり切って正解!」

銀色の髪の美容師が、鏡の中の僕に笑顔で話しかける。

ジェイの紹介で訪れたヘアサロンで、僕は美容室デビューを果たしていた。

おでこを丸出しにした髪形は意外と僕に似合っており、きちんと若手起業家に見えてくるから不思議だ。

「ジェイと一緒に会社始めたんでしょ?この若さですごいねー!」

いえいえ、と謙遜するものの、悪い気はしない。

TJマイクローブを設立してから1カ月、事業化に向けて出資者集めに多忙な中、ジェイのコネクションでテレビ出演の話が舞い込んだ。

民放ゴールデンで、人気ニューハーフタレントと専門家が、面白おかしくその分野を紹介する番組で、なかなかの高視聴率を誇っているらしい。(母が録画していたので僕も何度か観たことはある。)

もちろんジェイが出ると思っていたが、微生物の専門家として僕が出演すると話がついていたらしく、聞いたときは大層慌て、抵抗したものだ。

「絶対タクが出た方が会社の為になるからさー!」

ジェイにそう説得された上、少しでも話題になるようにと、まずは外見を変えろとの指令が下ったのだ。

「タクって意外とスタイルいいし、顔も綺麗じゃん。微生物界の王子とか言って話題になんないかなー。とりあえずここで揃えてきなよ!」

そう言って、ジェイから指定された店で揃えた僕の戦闘服は、なんと総額100万円を超えた。

今日は最終仕上げとして、戦闘服に合う髪型を求め、これまたジェイの紹介のヘアサロンにきたというわけだ。

「撮影、頑張ってくださいねー!絶対見ますね♡」

アシスタントの女の子から提示された金額は、いきつけの床屋の10倍だったことに驚きつつ、カンパニーカードを颯爽と差し出した。

【モテキ参上!】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo