ふぞろいな駐妻たち Vol.10

SNSで拡散されていく、「夫の醜態」。"駐在妻の座”にすがりつく女が迫られた、究極の選択

駐妻【ちゅうづま】―海外駐在員の妻。

数多の平凡な妻の中で、一際輝くステータス。

共通点はただ一つ、夫について、海外で暮らしていること。

駐妻ワールド。そこは華麗なる世界か、堅牢なる牢獄か。

夫・彬の赴任に伴い、タイ・バンコクに来た里香子駐妻たちのマウンティングに意気消沈しかけるも、友人のケイと、同じく駐妻の雪乃に励まされる日々。

里香子は、念願の昇進を果たした彬に言われた言葉がきっかけで家を飛び出してしまう

一方、友人の雪乃は、夫・仁志が「女連れで空港にいた」とケイからの目撃情報が入ったことをきっかけに、夫の女遊びを知ってしまうのだった。


「うわっ、里香子、腕、アラサーで半袖焼け!悲惨!!」

「雪乃こそ、服ドロドロ…!」

ボランティアを終え、帰りのマイクロバスに乗ってお互いの姿を目にした里香子と雪乃は思わずツッコミあう。

彬の会社から、バンコク郊外の乳児院に行くボランティアの募集通知が来たのは10日前。里香子が彬と激しく言い争いをした翌日のことだった。

通知を見た瞬間に、里香子は参加を決めた。会社関係者でなくとも参加できるとのことで、平日昼間に動ける雪乃にも声をかけると、少々意外だったが参加の返事が来たのだ。

そして今日、朝からバスに揺られ、乳児院にやってきた。奥様会で集めたストック食材やおもちゃ、子供の服、みんなで作った髪飾り。それらをありったけ車に乗せて。

貧困や病気のため両親が養育できない子や、身寄りのない子が数百人集まるこの施設には、タイ人母と外国人―欧米人や日本人父とのあいだに産まれた子も多く、その背景にある事情を思うと、里香子の胸は痛んだ。

「…でも、もっと悲しい感じを勝手に想像して、今まで足を運ぶことができなかったけど、今日来てよかった。子供たち、みんなあんなに喜んでくれて。誘ってくれてありがとう、里香子」

雪乃の言葉に、里香子はほっとした。

「ううん!私こそ、来られてよかった、ありがとう。ここに来られて、何だか、色々目が覚めたわ」

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