駐妻【ちゅうづま】―海外駐在員の妻。
数多の平凡な妻の中で、一際輝くステータス。それはちょっとした幸運で手に入れた期間限定のシンデレラタイム。
彼女たちがこれまでの人生で何を夢見て、何に泣き、何を喜び、何を成し遂げたのか、ここでは誰も知らない。
共通点はただ一つ、夫について、海外で暮らしていること。
駐妻ワールド。
そこは華麗なる世界か、堅牢なる牢獄か。
夫・彬の赴任に伴い、タイ・バンコクで駐妻としての生活が始まった里香子。引っ越しの翌朝、早々に彬の会社のバンコク婦人会から豪華な花束とカードが届く。
それを見た里香子は、8年前、ロンドン留学中に嫉妬に狂った駐妻から衝撃的な電話がかかってきたことを思い出すのだった。
彼女のバンコク駐妻ライフが幕を開ける―。
「里香子! ようこそバンコクへ!」
車を降りると、オープンカフェで雪乃が立ち上がってこちらに手を振っている。里香子はほっとして雪乃に走り寄り、抱き合って再会を喜んだ。
「雪乃、念願の駐妻ライフ、楽しんでるのね!」
里香子は雪乃の姿を眺め、思わず吹き出した。
つ......
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この記事へのコメント
こんなことで仕事中に電話かけるなんてありえない。
また駐妻が叩かれるじゃないか😭
いるよ、そういうお友達。
可愛そうだよ、帰れなくて。
外資ならまだしも日本の企業なのに、本社にポストが無いってこと。
要するに、出世コースからは外れた人なんだよね。
スライドが格上だなんて、なぐさめかしらね?