ふぞろいな駐妻たち Vol.5

「あなたのご主人…女連れよ」告げられた“夢の駐在妻ライフ”の終焉と、見知らぬ銀行口座の存在

駐妻【ちゅうづま】―海外駐在員の妻。

数多の平凡な妻の中で、一際輝くステータス。それは期間限定のシンデレラタイム。 そして普通の女に与えられた「劇薬」。

ここでは彼女たちのこれまでの人生を、誰も知らない。共通点はただ一つ、夫について、海外で暮らしていること。

駐妻ワールド。そこは華麗なる世界か、堅牢なる牢獄か。


夫・彬の赴任に伴い、タイ・バンコクに来た里香子。ロンドン留学中に嫉妬に狂った駐妻から衝撃的な電話がかかってきたことを思い出し、期待と不安が入り混じる。

タイ語教室でのマダムたちのマウンティングランチで意気消沈しかけるも、バンコクで働く友人ケイと、同じく駐妻の雪乃に励まされ、なんとか気を取り直す。

しかし会社の奥様会でも違和感を覚える里香子。彬の心ない一言が追い打ちをかけるも、平穏を保ちたい一心で黙殺するが―。


「ひゃああああ~!待って~!!助けて雪乃!」

悲鳴とも歓声ともつかない声が終わらないうちに、里香子が勢いよく象の鼻から川面に放り投げられる。

―フフフ、作戦成功ね。

雪乃は、岸で里香子の様子を写真に撮っては、ニヤリと笑った。

バンコクに里香子が来てから3か月。

半年前、里香子から「彬について、バンコクに行こうと思う」と電話がかかってきたとき、雪乃は心底驚いた。

里香子が勤めていた大手ディベロッパーでは、配偶者の転勤理由で退職した社員は、再雇用試験を受けられるという。それに挑戦してみると明るく言っていた。

「ただ夫と一緒に暮らしたい、っていうだけなんだけど。仕事までなくなっちゃった」と笑う里香子を見て、彼女にとっての決断の重みがわかった気がした。

だって里香子は、東京で全てを手にしていたから。

【ふぞろいな駐妻たち】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo