「ご用件は何かしら。…わざわざ、こんな時間に」
静寂に、華の冷淡な声が響く。
青山一丁目のタワーマンション40階。月明かりと消えない街灯が華の横顔をぼんやりと映し出し、貴裕は妻の眼光に身震いをした。背中を、冷たい何かがツーッと伝っていく。
どうやら、電話の向こうで奈......
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「ご用件は何かしら。…わざわざ、こんな時間に」
静寂に、華の冷淡な声が響く。
青山一丁目のタワーマンション40階。月明かりと消えない街灯が華の横顔をぼんやりと映し出し、貴裕は妻の眼光に身震いをした。背中を、冷たい何かがツーッと伝っていく。
どうやら、電話の向こうで奈......
−可愛かった妻は、どこに消えた?–
昔はあれほど尽くしてくれたのに。あんなに甘えてくれたのに。
いつの間にかドSと化してしまった妻に不満を抱く既婚男性は、きっと少なくないはずだ。
青山でイベントプロデュース会社を経営する、平野貴裕(ひらのたかひろ)・35歳もそのひとり。
妻である華(はな)とは大恋愛の末に結ばれたはずだが、結婚後5年が経ち、その夫婦関係は随分と冷え切っていた。
そしてついに、破滅へと向かうある事件が勃発する。
この記事へのコメント
「事が発覚したときにね、『死んだんだ』って言ったのよ。彼の中であなたは死んだものとして片付けられてるの」ああ言ってやりたい。
そうだ、すっかり忘れてたけど、華の方も不審なんだっけ。大丈夫かなこの夫婦💦
妻の思い上がってるところ、夫のだらしないところ、不倫女のしつこいところ