愛しのドS妻 Vol.8

愛しのドS妻:「私の方が、彼を愛してる」。勘違いした2番手女を一蹴する、本妻の貫禄

イベント会社を経営する平野貴裕(ひらのたかひろ)・35歳は、ほんの出来心から取引先の奈美子と不倫関係に。

すでに関係は解消していたが、別れ際に奈美子から渡された手紙が華に見つかってしまう

華から「奈美子に慰謝料を支払わせるか、そうでないなら離婚する」と迫られた貴裕は、苦肉の策で300万円を肩代わり。さらには高級時計までプレゼントさせられる。

それでも強硬な姿勢を崩さない華に辟易し、再び奈美子と密会してしまう貴裕。しかし華の一大事に妻の大切さを痛感し、奈美子との関係をLINEで一方的に解消する

しかしその身勝手に奈美子は逆上。深夜の自宅に、地獄のコールが鳴り響く…。


「ご用件は何かしら。…わざわざ、こんな時間に」

静寂に、華の冷淡な声が響く。

青山一丁目のタワーマンション40階。月明かりと消えない街灯が華の横顔をぼんやりと映し出し、貴裕は妻の眼光に身震いをした。背中を、冷たい何かがツーッと伝っていく。

どうやら、電話の向こうで奈美子は無言を貫いているらしい。

勢いに任せてかけてはみたものの、華の微塵も動じない声に圧倒されてしまった、というところだろうか。

腕組みをした妻は苛立ちを隠そうともせず、わざと奈美子に届かせるように大げさなため息をついた。

そして貴裕をちらりと横目でみやると、耳を疑う提案を始めたのだ。

「まあ、こんな夜中に言い合いをしても仕方がないわ。お互い感情的になるだけ。明日、改めて会って話しましょう」

−ちょっと待て。会って、話す?

しかし慌てる貴裕のことなど、華はまったく無視。奈美子に待ち合わせ場所を指示すると、早々に電話を切ってしまうのだった。

「…華、奈美子に会うなら俺も行くよ」

恐る恐る申し出た貴裕を、華は当然のごとく一蹴する。

「いいわよ、来なくて」

「いや、でも」と食い下がる夫を、妻は思いっきり眉を顰めて突っぱねた。

「あのね、あなたが来ると余計ややこしいってわからない?こうなった以上、奈美子の対処はもう私に任せて頂戴」

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