愛しのドS妻 Vol.6

愛しのドS妻:「夫婦の絆を守りたい」浮気な男が下した、冷酷な決断

久しぶりに戻った我が家の快適さに、貴裕は大げさながら感動すら覚えていた。

芍薬が飾られた玄関、美しく整頓されたリビング、華のセレクトで買い揃えたイタリア製の高級家具たち、いい香りのする寝室…。

週に1度ハウスクリーニングを入れていることもあるが、ラグジュアリーかつモダンな空間を作り上げ維持しているのは、間違いなく華のセンスの良さである。

他の女では、きっとこうはいかない。

いっときの気の迷いでこれらを手放すなんて…どう考えてもバカらしい。

安いビジネスホテル生活から解放された貴裕は、この家で華ともう一度やり直せるならなんだってしよう、という気持ちになるのだった。

「よし!今夜は俺が料理するよ」

勢いで申し出ると、華は呆れた表情で貴裕を振り返った。しかしその目は、これまでと違って柔らかく、優しい。

「別にいいわよ…だって貴裕、料理なんかしたことないじゃない」

笑いながらキッチンに向かおうとする華を、貴裕は強引にソファに連れ戻した。

「大丈夫。華はまだ本調子じゃないんだから、ゆっくり休んでてよ。俺だってカレーくらいなら作れるんだ」

自信満々に言ってはみたが、作り方は知らない。まあでもそんなもの、カレールウの箱の裏にでも書いてあるだろう。

華は「私、カレーって気分じゃないんだけど…」なんて言いながら、どこか嬉しそうだ。

貴裕と華は、ようやくささやかな幸せを取り戻した…かに見えた。


不穏な影


RRRR….

ダイニングテーブルに置いた貴裕のスマホが、けたたましい音を立てた。

−マズイ。

こういう時の予感というのは、たいてい当たる。

貴裕は動揺をひた隠し、さりげないそぶりでスマホを取りに行く。

後頭部に、華の刺すような視線をヒリヒリと感じる。
......


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