愛しのドS妻 Vol.4

愛しのドS妻:夫の不貞で壊れた夫婦の絆。300万の時計でも、妻の愛は取り戻せない?

−可愛かった妻は、どこに消えた?–

いつの間にかドSと化してしまった妻に不満を抱く既婚男性は、きっと少なくないはずだ。

青山でイベントプロデュース会社を経営する、平野貴裕(ひらのたかひろ)・35歳もそのひとり。

およそ半年前、ほんの出来心から取引先の奈美子と不倫関係に陥った貴裕。

すでに関係は解消していたが、別れ際に奈美子から渡された手紙があろうことか華に見つかってしまう

キレた妻は反撃を開始。

狡猾な妻はたった1日で浮気相手を特定。奈美子に接触し、慰謝料請求のメールを送りつけていた。

勘弁してほしいと懇願するが、華は「奈美子に慰謝料請求しないなら離婚する」と迫るのだった。


「ああ、三上さん?夜分に申し訳ない」

オフィスの窓から見下ろす表参道を、車のテールランプが単調に流れていく。

21時過ぎ。

スタッフ全員が帰路につき、誰もいなくなったオフィスで、貴裕はある男に電話をかけた。

相手は、三上保。貴裕が信頼を寄せている保険プランナーである。

「実は、ドル建ての終身保険から300万ほど契約者貸付をさせてもらいたいんだ」

余計な詮索をされぬよう、貴裕は淡々と言い切った。

−私を愛してると言うなら、行動で示して。ー

保険プランナー・三上の相槌を聞きながら、華の冷え切った目を思い出す。

彼女は貴裕に、奈美子への慰謝料請求に加担するよう迫った。そしてそれができないなら離婚するしかない、とも言った。

−どちらも嫌だ。

それが、貴裕の答えである。

華を失うことは考えられない。しかしだからと言って、奈美子に300万円もの慰謝料支払いを求めるなど、そんな下衆なマネをするわけにもいかない。

ゆえに貴裕は覚悟を決めたのだ。

奈美子の代わりに、自分が華に慰謝料300万円を支払う、と。

「平野さんの積立額なら、300万円程度は何も問題ないかと。また戻せる時に戻してもらえれば、契約はそのまま維持できますので」

余計なことは聞かず歯切れよく答える三上の声だけが、貴裕の心を幾分か穏やかにさせた。

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