恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.3

ハマると抜け出せない蟻地獄。プレイボーイの商社マンを本気にさせた、年上女の魔力

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

持ち前の器用さと明るい性格で比較的イージーに人生の駒を進めてきた一条廉(いちじょう・れん)

しかし東京は、平穏な幸せを簡単に許してくれない。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

大学の同級生・相沢里奈とともに同じ総合商社の内定を獲得した廉は“商社マン”らしくモテを謳歌する日々

しかし噂で里奈が結婚間近と聞かされ、どういうわけか焦燥を感じるのだった。


出先から戻る途中、仲通りの『GARB東京』で里奈を見かけた。

ちょうどランチタイムで店内は混雑していたが、僕の目は窓際にひとりポツンと座る彼女の姿をすぐに捉える。

実際、里奈には別格の華やかさがあって、通りを歩く男という男は皆ウィンドウ越しの美女に視線を送っているのだった。

頭で考えるより先に足が動き、僕は吸い込まれるように彼女の元へと向かった。

店に入っても、珍しくご機嫌な彼女は僕の気配にまるで気づかない。

「驚かせてやろう」と静かに近寄ったところで、里奈の視線の先にあるものが目に入った。ハワイのガイドブック。

夢中でページをめくるその姿は、なぜか僕を無性に苛立たせた。

何に、と問われると不明だが、裏切られたような気持ちがする。

「彼氏と旅行?」

思わず出た低い声に、自分でも驚いた。

しかしもう後に引けず、僕は正体不明の苛立ちをそのままぶつけることしかできなかった。

「そいつのこと、結婚するほど好きなワケ?」

気づけば逃げるように席を立つ里奈の背中にまで、問いかけていた。そんな資格も権利も、僕にはないというのに。

あまりに子どもっぽくて、今となっては自分でも呆れる。

そんなことを聞いて、僕はいったい何がしたかったのだろう?

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