パーフェクト・カップル Vol.21

「この日を一生忘れない」。スキャンダルにまみれた人気アナウンサーの、運命の1日

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれ、幸せに暮らしていた隼人と怜子。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう

夫は以前の名声を取り戻したが、妻が過去のトラウマと対峙している時、夫は妻を守るためある決断をする!

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続ける「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


隼人:「この日のことを、僕は一生忘れないだろう」


僕と怜子は、社長には後日きちんと説明することを伝え、場所を貸してもらったお礼を言ったあと、家に戻ってきた。

僕たちは握った手を離さないまま、リビングのソファーに並んで座った。

お茶でも淹れてこようか、と言った僕を遮り、怜子が話し始めた…。


この日のことを、僕は一生忘れないだろう。


僕たち夫婦の関係が、変わることになった、この日のことを。


怜子:「…2年も続いていたなんて」


「今まで誰にも話せなかったの。…惨め過ぎたから。あの日のことは。」

私が言うと、私の手を握ったままの隼人の手に力がこもった。その力強さに安心し、私は話を続けた。

―あの日。

私の「婚約者」だった彼。その彼との子供を身ごもった彼女に、呼び止められた日。

少し、お話できますか…。

そう言った彼女を、私はなぜか断れず、近くのカフェまで、大きなお腹を抱えた彼女と一緒に歩いてしまった。

小林愛美(まなみ)。25歳くらいだろうか。何度か現場が一緒になったことがある同業者で、名前は知っていた。最近、智さんが企画した化粧品のCMで有名になった子だ。

男性人気も高く、癒し系で屈託のない笑顔がトレードマークの彼女は、撮影で「笑わない」ことを求められる私とは正反対のモデル。

撮影現場でも人懐っこく、みんなから愛される彼女のことが、私はずっと羨ましかった。

―智さんが、私と正反対の彼女を選ぶなんて…

「突然、すみません。それに、この前、智さんの家で取り乱してしまって…すみませんでした。」

彼の家での出来事がフラッシュバックする。謝られると余計惨めになる。私は精一杯の冷静を装い、彼女の言葉には答えず、聞いた。

「彼とはいつから?」

「智さんとの関係が始まったのは、2年くらい前です。私が彼を好きになって。怜子さんと付き合ってるって知らなくて、私が必死でアプローチしてしまって…。」

―2年も続いていたなんて。

ショックよりも、全く気がつかなかった自分に呆れる。

私と同じ呼び方で彼を呼ぶ彼女にイライラし、なぜ話を聞くことにしてしまったのかと、もうすでに後悔し始めていた。

「怜子さんの存在を知っても、もう引き返せませんでした。彼女がいる人を好きになってしまった自分が悪いことは分かってます。だから、多くを望むつもりはありませんでした。」

―多くを望むつもりは、なかった?

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